Landreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 15】 おがきちか IDコミックス/ZERO-SUMコミックス

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ああほら、やっぱり第一印象は当てにならないんだ。
とはいえ、第一印象はやっぱり胡散くさかったんだよなあ。イオンの語るクエンティンのイメージは、此方が受けた印象を論理的ではないが感覚的に見事に言い表していて、やはりその辺は意図的に表現していたんだなあ、と。
とはいえ、ただそれだけにつまらない人間とは、やはりかけ離れてるんですよね。アンちゃんとはまた違う人種だけれど、変人なのは間違いない。その理想からして異端だし、それを当事者であるDXにはっきりと明言してキングメーカーとしてあなたを推薦したい、とのたまうその神経と言うか在り方はやっぱり常人とはかけ離れてるし。
父であるリゲインの知り合いであり、少なくとも親しくしている様子を見るならば、宮廷政治を楽しみ利権を食い物にするタイプとは程遠いんだろう。ただ、リゲインもただ親しいという感じじゃないですよね。少なからず緊張しているというのは、クエンティンの立場のみならずどうも人物そのものにある種の危険性を感じているようには見える。リゲインとの会談の中で語られたクエンティンの壮絶な過去。彼の抱いている将来の目的、理想、野望と言ってもいいその道筋から見ても、アニューラスとは変人同士と言ってもちょっと方向性が違うようにも見える。DXはレイ・サークと似てると言ってたけど(その理由が最高で、まさしくと思わされる)、その性向は似てるけど、レイがどちらかというと享楽を旨として動いているのに比べて、クエンティンには強固な意志の方向性が垣間見える。
でも、当初想像したような他者の思惑など無視して自分の信念を押し通すようなタイプの危険人物とは、ちょっと違う気がするなあ。したたかで実に政治的な曲芸を乗りこなすことに練達している人物ではあるものの、柔軟である種の素直な優しさを秘めている人にも見える。誠実ですらありそうだ。うーん、アンちゃんの方がタチが悪いんじゃないか(笑
とはいえ、まだまだ底の見えない人ではあるんだけれど。
そういえば初めてじゃないかな。DXが王様に向いてないと言ったのは。でもDXの人物認識は非常に的確なんですよね。おそらく、DXが王様に向いていると言ってきた人たちと何も変わらない。さらに面白いのは、その双方がDXを王に推したいと思っている所か。
とりあえず、アンちゃんを押しのけDXの意思を無視して一方的に何かをしようという気はさらさら無いようなので、その辺はひとまず安心した。てっきりDXも反発するかと思ってたけど、お互いよく話すことでDX自身、クエンティンという存在を飲み込んだみたいだし。

そんなクエンティンのエカリープ来訪の本当の目的は、リゲインに行方不明だった王女の消息を伝えること。それを機会に、これまで情報が伏せられていた革命の真実の一端がようやく見えてくる。
現体制の王不在の理由や、リゲインが田舎に引っ込んでいる理由。なるほど、今は平和なアルトリア王国だけれど、一昔前は血なまぐさい時代そのもので、それは現在もまだ拭い去れてはいないわけだ。
アンちゃんやクエンティンがDXに望む王様像の所以もこれで徐々に見えてくる。なるほどねえ。

そして、ライナスとルーディーのターン。こいつらの贈り物攻勢はホント大したもんだよなあ。いつもイオンちゃんを伊達に餌付けしてないということか。まさか、ファレル母さんを光モノで落とすとは(笑
所謂宝石にはとんと興味を示さないだろうファレルに普通の貴族の奥方に対する贈り物とは趣向の違うものを贈るのは想像できたものの、敢えてなおも光モノを贈るとは、やっぱり一味違うよなこいつらわ。
あんなにウキウキときめいてるファレル母さんはじめてみた(笑
ここできっちり、リゲインがルーディーにあの誘拐事件の件で謝るのには感心させられる。そうだよなあ、ルーディーはあれ、DXの巻き添えくらった被害者なんだよね。そういう事を忘れずきっちりしてる作者さまには、重ねて感心させられる。こういう積み重ねが、世界観とストーリーラインの強固な親和性を構築していくわけだ。なるほど、世界観がべらぼうに広大になるわけだよ。

しかし、この飲んだくれながらの、忌憚の無いというか堅苦しさの欠片もない言いたい放題のダラダラとした時間を過ごせるのは、素敵だなあ。これ以上ない友達同士のだべりあいって感じで。目の当たりにしたファレル母さんが大笑いするのも道理だわ。親としても、自分の息子がこんな友達作ってたら、嬉しいだろうなあ。

ライナスたちと話す、スピンドル事件のことも、相変わらず意味深、というか何重もの意が織り込まれてて、非常に面白い。やっぱり、DXの本質はみんなとはどっか違うんだよなあ。視点、立脚点がまるで人と違っている。それは身分や生い立ちから来るものであると同時に、それらとは隔絶したDXという人間そのものの資質によるものなのか。
フィルについての話もそうで、あのしてやったりの顔は反則だよなあ。叶わない。

君は報われない幸せを知らない
か。ふむふむ。

槍熊の話も含めて、こいつらホントにイイ友達同士だよなあ。お互いみんながいい意味で感化しあってる。

そして、ついにリゲインの口から語られる誰も知らない革命の真実。彼が犯した罪と得た自由。
DXの本質とは自由であるこそそのものなんだろうけれど、その<自由>というものも、決して一概に一括りに出来る概念じゃないんだろうね。アカデミーに入り人の集団の中に入ることでDXはそこで自由というものの意味を色んな角度から捉え始め、今また父を縛る<自由>を目の当たりにするわけだ。


で、毎度おなじみ今回のおまけーー。

(w

いやもうね、これは何も言えんわーー(笑
よくぞまあ、なんというか、アホばっかりというか男は世知辛いというか、騎士というのもなんだかなー、というか。
面白いなあ、もう(苦笑


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