放課後の魔術師    (6)ミスティック・トリップ (角川スニーカー文庫)

【放課後の魔術師(メイガス) 6.ミスティック・トリップ】 土屋つかさ/ふゆの春秋 角川スニーカー文庫

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前回の感想でも相当に円環への怒りをぶちまけていたけれど、もういい加減怒髪天が有頂天ですよ!(意味不明
ジェシカシステムへの介入や、遥へのちょっかいなど、それ相応の遠大な理由があるのかと思ったら、結局は組織の権益の維持、保身のためかよ。それも、予防的な措置により人の尊厳を簡単に踏みにじり、簡単に生命すら奪おうとするなんて。そのためには、円環自身が定めた法すらねじ曲げ、非合法な手段に走る。しかも、表向きには正式な拘束力を発揮してコチラの動きを制しつつ、だ。悪質極まりない。
派閥による態度の差異はあるとはいえ、いくらなんでもこれは腐りきっている。ここまで暴虐的かつ恣意的に権力の乱用をされたら、各氏族たちも円環から受ける利益よりも、自分たちの身の安全に対する深刻な危惧を抱き始めるんじゃないだろうか。円環の指先一つで氏族の指導者格まで簡単に処分されるようじゃ、他の氏族たちもおちおち安心していられないだろうし。ナニカ明確な理由があるのならともかく、円環による統治の維持が目的で、遥の暗殺まで行うようじゃ、ねえ。
実際、蒼はどうやらこれを機会に完全に討ってでる態勢を整えてるし、ベルも紫をまとめてナニカ動きを見せる様子を見せているし、他の氏族だって黙って円環の跳梁を座して見逃すかどうか。
どちらにせよ、遥の立場からしたら、自分を殺そうとした組織に対して反抗するのは正当防衛だし、場合によっちゃ鴉に身を寄せてもいいんじゃないかと思うくらい。今のところ、どう考えても円環の方が無茶苦茶やってるもんなあ。遥の力をそれだけ恐れているのなら、もし遥が覚醒したとき自分たちが虎の尾を踏み躙っている状態にあるというのをちゃんと把握してるんだろうか。遥が非常に理知的で攻撃性からは程遠い性格なのが幸いしてるけど、もし遥が振りかかる火の粉を徹底的に振り払う性格だった場合、こいつら遥が覚醒したあと円環まるごと殲滅対象にされて皆殺しにされる危険性とか考えないんだろうか。現状の遥だって、安芸や仄香がもし巻き添え食って死んじゃったケースなんか、容易に堕ちる可能性もあるだろうに。
どうもそんな覚悟もなく、安易に手を出している気がするんだよなあ。それがまた、腹が立つ。

とはいえ、それだけ遥が切羽詰った状況に追い込まれて行くなかで、安芸の遥への距離感が猛烈な勢いで変化して行くのには驚いた。斎条先生はじめとして、周りの後押しや自覚を促す示唆があったとはいえ、安芸が義務感ではなく、自分の感情として遥を傍に置いておきたい、守ってあげたいと思っていると気づきはじめ、その感情が具体的に何なのかすら見つけるに到るまで進展するとは。この野郎の鈍感さは、ちょっとした凶器クラスだっただけに、いやはやこれは良い驚きだった。
まー、あの師匠に可愛がられてたのなら、防衛本能として女性の思わせぶりな態度とか心情に対して鈍くなるのも仕方ないところがあるよなあ。心を鈍くしておかないと、可愛がられすぎてストレスで死んじゃうネコみたいに、頭おかしくなりそうだし。
あの師匠は性格ももとより、コスプレ(?)こそどうかと思うけど。あれ、ベルの魔法少女バージョン並にアレだぞw

二人の仲の進展と同時に、これまで伏せらえてきた紅の能力に、紅の氏族がこれまでどうして行方不明とされてきたのか、仄香が人前に姿を表さない理由。ジェシカシステムに伊代が組み込まれた理由など、様々な真相が明らかになり、事態は急展開。
ラストには衝撃的な顛末もあり、日本でもアッと驚きの漏れてしまうような、予想外の動きあり、と大きなうねりがクライマックスに向けて盛り上がってきた感あり、である。
さあ、次回は総力戦の一大決戦か!!