神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)

【神さまのいない日曜日】 入江君人/茨乃 富士見ファンタジア文庫

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なんで絶賛しつつみんな売れない売れないって付け加えるんだよ! と選考の選評を見て突っ込んでしまった(笑
いや、確かにそうなんだけど。
ウケ狙いとは程遠い、実に大賞らしいというか受賞作を取りに来た作品と言う完成度の高さを重視した作りは、この作品に限っては売れ筋ではないでしょうけど、前の大賞受賞者の人に比べれば(この人はこの人で別レーベルの作品ですけど独自の作風を確立して、物凄いファンなんですけど)、だいぶエンタメ方面に舵を切れる余裕が文体から感じられるので、むしろ以降のシリーズがどれだけ売れ線に手綱を緩めながらこの大賞受賞作の持つ<雰囲気>を堅持できるかのバランス調整に興味が湧くところです。

と、肝心の本編ですが、この手の卒なく余分の無い完成度の高いのが特徴の作品は感想の取っ掛かりがなくて難しいんだよなあ。ぶっちゃけこの人、読んだ感覚だと奔放にやらせたらかなりのスケール感を振り回せるポンテンシャルを感じたんだけれど、この作品に限っては色々と圧縮しすぎてポロポロと削り落ちている部分が目立ってしまうくらいにはあるんですよね。もっとテーマのみに焦点を当てて研ぎ澄ませる方式ならこれほど粗が目立つことも、肝心の主題に対する印象が薄まってしまうこともなかったんだろうけど、こりゃあもっと色々書きたかったんだろうなあ、というのが伝わってくる気がして、ついつい削り落としてしまった部分の削り跡に目が行ってしまいました。スカーにしてもユーリにしても、中途半端なんだよなあ。
それでもボロボロにならずに、ここまでガッチリ物語として固めてるんですから、感心させられる次第。

って、やっぱり中身に触れてないや。出来れば人が死ななくなった壊れた世界の街並み、人々の日常風景などといった世界観の根幹を担う部分をもっと読みたかったなあ。