聖剣の刀鍛冶〈8〉 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 8.Light&Darkness】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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表紙絵のセシリーコスプレ劇場、これまでの最高傑作は三巻の男装バージョンだったのだけれど、今回のはこれまでのカッコイイ、美人系の装いと大きく方向転換した看護服!!
これが何気に似合ってやがる。前のメイド服も良く似合っていたけれど、けっこうセシリーって女性らしい柔らかい装いも似あうんだよなあ。って、これだと何着ても似合ってますと言っているのとおんなじか。今回は挿絵でも何枚も看護服セシリーが拝めるので眼福である。イラストレーターの屡那さんが素晴らしいのは、女の子がカワイイだけじゃなく、若い男は若いなりに格好良く、おじさんはおじさんなりに、老人は老人なりに渋くカッコいいのがいいんだよなあ。あとがきで三浦さんが悶えているように、今回のシーグフリードの挿絵は悪役にしてもカッコよすぎて惚れそうだわ。

帝政列集国の悪魔と人外を擁した侵攻を辛くも退けた独立交易都市。国際緊張は既に列集国の侵攻をもって既にダムに穴が空いた状態。もはやいつ決壊するか、の段階に入っているのだけれど、独立交易都市は一先ずの危機を脱して、都市の復興に取り掛かる。
市民の被害は最小限に食い止めたものの、騎士団の被害って書いてある通りだと殆ど壊滅じゃないですか。特に三番街担当部隊は半数が死亡。傷を負って復帰不能に陥った団員の事も考えたら、これは痛いどころじゃない。幸いにして団員募集がうまく行っていて補充も足りているようですが、正規隊員がこれだけ失われていると、新兵が幾ら増えても戦力化されるまでどれほど掛かるものだか。まだ、即戦力になる人材もいるだけマシかもしれないけど、半年前に入団したセシリーがベテラン扱いされるようじゃあ、大ピンチだわ。まあ、セシリーは実際ほんとに強くなったけど。
一巻の時は剣に振り回され、初めての実戦でまともに戦えずにヒーヒー言って泣いてた小娘が、ねえ。セシリーのあの活躍はやはり市民の間でも相当話題になっていたらしく、彼女に憧れて入団してくる輩も出てきている。その一人であるヘイゼルが、泥棒を追いかけて逆襲されたあげくにこっぴどくやられそうになったところを、颯爽と現れ瞬く間に制圧してしまうセシリー、なんて場面、半年前はセシリーがちょうどヘイゼルみたいにド素人相手にボコボコにされて泣いてたもんなのになあ。ほんと、強くなったわ。

そして、ルーク。みなさん、お母さん、お父さん、ルークが本気を出しましたよ! まさかまさか、こいつの方からこんなに積極的に動くなんて。
今まで風雲急を告げてばかりでバタバタしてばっかりだったから、二人がわりといい雰囲気になってからこっち、落ち着いて他の何にも気をとられず二人で過ごす時間と言うのは殆どなかったわけで、こうしてみるとこの二人って本当にお似合いなんだなあ、と惚れ惚れとしてしまった。ツンツンせずに誠実にセシリーに向き合うルークは、瑕疵が見当たらないほぼパーフェクトな完璧イケメン青年で、そこはかとなく照れているのなんかチャーミングで、文句のつけようがないんだよなあ。
まあ、そんなルークは、妙だとは思ったんだ。
卑怯だとは思うけど、それ以上に自分に対してもセシリーに対しても、これはきっと誠実なんだと思いますよ。変に遠ざけようとするよりも、よっぽど男らしく素敵な未練がましさだと思う。そこで踏み越えてしまわないのもまた、迷いであると同時に誠実さなんでしょう。その未来が決定しているものなら、安易に一線を越えてしまうのはやはり無責任だと思うし。かと言って、後々セシリーがどれほど傷つくか、という点もあるんですよね。もっとも、どのやり方を選んだとしても、正解は無いわけだし、セシリーが傷つかないルートもまずないわけで、ならばルークのやり方と言うのは非常に共感し得るそれなわけです。
それもまた、愛なのよ。

いい雰囲気というと、もうアリアとユーインもすっかりいい雰囲気になっちゃってるじゃないですか。前々から気にはなっていた、悪魔は、魔剣は人と愛し合えるのか、という点についても今回ユーインの研究からひとつの答えが出たわけですし。
アリアの将来についてはずっと見通したたなくて、微妙に不安なところがあったのですが、これは良かったなあ。
ただ、その事実が判明することで、思わぬ伏線が起爆したわけですけど。
なるほど、シーグフリードの正体ってそういうことだったのか!! 一つの過去の事実が明らかになることで、これまで、生殖能力を持たない、ハウスマンの姓を持つなどといった様々な謎をでもってその正体を闇に落としていた彼の素性その他もろもろが一気に明らかに。
まともな人間ではないと思っていたけれど、まさかそういう事だったとは。彼が迸らせている世界への憎悪も、きっとそこに起因するんだろうけれど、まだその具体的な目的などは分からないんですよね。帝国側のキャラにも、それぞれ色々ありそうな感じがしてきたわけだ。
今回の帝国側のエピソードも、その真の目的はわからないままなんだよなあ。でも、さらにこんな帝国側の戦力が増えてるようじゃ、パワーバランスが傾きすぎているような気もするんだけど。
エピローグでの、びっくら仰天の展開もそれに拍車を掛けているし。
いや、キャラの幸せのことを考えると、この展開は大いにアリなんですけどね。最終的に元に戻るにしても、この間の時間と言うのは将来的にとても貴重なものになるはずだし。