蒼穹のカルマ4 (富士見ファンタジア文庫)

【蒼穹のカルマ 4】 橘公司/森沢晴行 富士見ファンタジア文庫

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前巻の感想で、カルマの暴走はこの作品の牽引力なので、徹底的にやってしまえ、などと面白半分に書いてたら、何故だかこの巻ではカルマさん、魔王になっていました……やりすぎだよ、おいw
前の巻の表紙の女子高生カルマが、やけに目に沁みます。あんた、ほんとにアリサ・命という以外はどうでもいいんだな。たしか私の記憶が確かなら、第一巻では異世界に召喚されて、その魔王を倒す勇者になってたはずなんだが。紆余曲折にも程があるぞ(笑

アリサと一緒に過ごす時間を奪われそうになったため、何の未練もなくあっさりと騎士団を辞めてしまったカルマ。とはいえ仕事を辞めた以上は働いて稼がなくてはならず、おまけに重大な作戦の前に勝手にやめてしまったために、莫大な違約金を請求され、否応なく就職活動に入るカルマ。
……なに、その「特技はイオナズンです」な面接はっ。いや、特技がそれ系統なのはわかってるけど、それならそれを活用出来そうな会社を探せばいいだろうに、こいつ給与しか見て無いな、さては。
しかし、カルマってここまで社会適応力に欠けてたのか。よく、騎士団に入れたよなあ。それとも、騎士団ってのはやっぱり社会に適応できない人材の受け皿として機能していたんだろうか。考えてみるとメンバーの中には、いささか人間として問題がありそうな輩がかなりの比率でいたような。えらいな、騎士団。

そんな就職難に喘ぐカルマが、何故魔王などになってしまったかは本編をご覧アレ。もう、なんというか、アレだから(苦笑
魔王曰く、本来なら邪悪さと残虐さが魔王を上回らなくては乗っとれないはず、というのは実は正しいんじゃないのか、これ。アリサへの想いの強さ云々は除いても、魔王となった後のカルマの所業を見てると、ある意味魔王よりも相当邪悪だし、残虐だぞ、これ。本気で自分のことしか考えてないもんなw

まあ、自分たちのことしか考えていないという意味では、アルテナもまあ相当なのであるが。カルマが全然端から聞く耳持たなかったのが主な原因だけど、とにかく自分たちの世界がピンチだから助けろ、と強制して掛かるアステナの言い分もあれはあれでかなり無茶苦茶なんですよね。
アリサたちを勇者として招いたのだって、アリサ個人云々はまったく見て無くて、完全に利用しに掛かってますし。まあ、死活問題である以上、その手段を選ばないやり口は嫌いじゃないんですけどね。
でも、民家に勝手に押入って好き勝手に私物を強奪という古式ゆかしいRPGイベントは酷かった。あれ、本当にやると本気で酷いな!

と、またぞろ話が脱線しまくってるように見えたんですけどね。まいったなこりゃ。異世界レーベンシュアイツを舞台にした話が、まさかこの物語の本道をまっすぐ貫く話に繋がっていたとは。無茶苦茶して遊んでいるように見えて、卒がないというか隙がないと言うか。思わぬ方向から劇的に物語を進展させやがった。まさか、あの異世界がこれほど根本的なところで蒼穹園の世界と繋がっていたとは。

そして、畳み掛けるように名前だけ出ていたあの重要人物の来演。全然、予想していたキャラクターと違うし! こんなに軽かったのか。いや、しかし何らかの理由があって行方不明になっていたんじゃないのか、この人。なんか、旦那が死んでいる事も知らないみたいだし。そもそも、この人がラスボスという可能性も予想にあったのに、これはどういう事なんだろう。
よく考えるとこの作品って、終着点が未だに見えないんだよなあ。なにがどうなったら、物語の結末に至るのか。空獣の正体を暴き、その発生を止めて、勢力を撃滅すればオッケー、ってワケじゃないんですよね。今の蒼穹園の社会って、空獣の死骸が重要かつ最大の資源として活用されているわけだし。絶滅させるわけにはいかないはず。そこに、あの人の登場だもんなあ。
こりゃあ、アリサの存在は想像以上に物語の根幹を担いそうだ。
……どうも、それに合わせて主人公がアリサに移行しつつある気配もあるけれど。カルマはあらゆる意味で扱いにくいもんなあ(苦笑