りーち☆えんげーじ! -子孫繁栄! 国立栄華学園中等部- (GA文庫)

【りーち☆えんげーじ! ―子孫繁栄! 国立栄華学園中等部―】 海堂崇/CH@R GA文庫

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鈍感だけならまだしも、そこにヘタレという性質が加わると始末に負えない困ったちゃんが誕生してしまうのであった。この主人公は、この手の鈍感タイプの中でもかなりタチの悪いタイプですね。自己評価が低いのはまだしも、それを踏まえて他人からの好意を悪い方悪い方に解釈して相手の気持を受け入れることをせず、端から相手にしようとしない、というのは単純に鈍くて相手の気持を察する事が出来ない、というニブチンよりもかなり酷いと思われる。まだ相手に気づいてもらえるように努力する余地があるこちらに比べて、一生懸命アプローチをしてもちゃんと受け止めてくれずに勝手に想いを否定されちゃうんだから。好意を伝えているにも関わらず、それに対して自分の気持を返してくれるのではなく、好意を抱いている事実そのものを否定されちゃあ立つ瀬が無い。これはかなり傷つくんじゃないだろうか。
一貫して逃げ腰で、女性側からの気持ちにそんなものは存在しない、自分には関係ないと目を逸らし、顔を背け続ける主人公の態度には、かなりカリカリさせられた。とはいえ、嫌いにはなれないんですよね。ここまで根性無しのヘタレだと、逆に同情が湧くというか、そのどうしようもなさに、そこはかとなく共感すら覚えていまうわけで……。
正直、周りの友人たちや伊達くんなんかは親切過ぎると思うし、イイ人が過ぎるとも思うんだが、そいつに優しくしてくれてありがとう、なんて気持ちにもなってしまうのでした(苦笑
まあ、美妃と渚は、いい加減甘やかしすぎ、だとも思うけど。惚れた方が負け、なのかもしれないけど、もうちょっとえげつない意味でイビっても良かったんじゃないだろうか。
それでも、自分のヘタレさ加減ゆえに追い詰められ、周りの後押しもあって開き直った主人公は、さすがにこれで鈍感を言い訳に彼女たちからの好意から顔を背ける事はもう出来ないんじゃないだろうか。渚を取り戻すためにあそこまでやったわけだし。あそこまでむき出しの感情をさらけ出して、渚を手放すまいとなりふり構わず動いた以上、今更ただの幼馴染などとは言ってられないだろうし。
勿論、二人の気持ちをしっかりと受け止めヘタレを返上したところで、上手に立ち回れるほど器用に突然なれるわけがないから、二人の間でこれから右往左往することになるんだろうけど。
それでも、何もなかった事にして逃げまわるよりは全然マシな話だし、安心してニヤニヤできるようなラブコメに進展してくれるんじゃないだろうか。
美妃は裏表の激しい性格とはいえ、ツンデレじゃなく、むしろ自分の気持に気づいたとたんに積極的かつ堂々と正面突破で踏み込んでくる娘だったし、渚も美妃からの宣戦布告を受け、きっぱりと結論を出して受けて立った以上、これまでのようになあなあで済ませるつもりはなさそうだし、もし続くなら恋愛ガチバトルが期待出来そうなんだけどなあ。
さすがに、ここに来てまたヘタレたら、さすがに見損なうぞ、主人公。

この作品、面白いのは上の三角関係とはまた別に、主人公の親友で典型的なナンパ男龍馬と、その妹で「アイスプリンセス」の異名を持つアリスとの、イケない関係が始まっちゃうところなんですよね。
元々龍馬はシスコンではあるものの、あくまでアリスの事は妹としか思っておらず、軽薄に女の子のお尻を追い掛け回してばかり。そんな兄貴にやきもきしながら、冷めた態度とは裏腹に一生懸命兄の気を引こうと気を揉むアリスが可愛いこと可愛いこと。
そんでもって、とある事件をきっかけとしてアリスの奮闘が実ってしまい、龍馬は自分の妹に「女」と感じてしまい、そっからアリスの怒涛の攻勢もあってズブズブとイケない関係に発展していってしまうのですが、これがなかなかのドキドキもの。元々、アリスの事を妹として思っていなかった段階から始まっているので、二人の仲がただの兄妹から急速にボーダーラインを跨ぎこえていく過程が、禁じられた蜜の味、といった感じでえっちい雰囲気なんですよねえ。
この二人に関しては間に割って入るような邪魔者がいない事もあって、二人の関係に集中できる、というのも良かったのかも。
むしろ、主人公の三角関係より、こっちの禁断の兄妹ラブストーリーの方が気になってしまうなあ(苦笑