鳥籠の王女と教育係―さよなら魔法使い (コバルト文庫)

【鳥籠の王女と教育係 さよなら魔法使い】 響野夏菜/カスカベアキラ コバルト文庫


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激震の急展開!! まさかまさかの、関係決壊。ぜ・る・いーーーーく!!
し、しまった。今までのお話でゼルイークが決して完璧超人などではなく、意外と精神的に脆かったり打たれ弱かってりするのは分かっていたはずなのに。あの偉そうで全部お見通し、私に任せておけば万事大丈夫です、という態度に読んでるこっちもついついだまされてたよ。
そうなんだ。こいつ、ヘタレだったんだorz

というわけで、まだまだ当人たちの無意識の底に押し込まれたままで進むはずだったエルレイン姫、アレクセル王子、魔法使いゼルイーク、レーンの側近にして親友で在る女騎士オルフィリアの四角関係が、ゼルイーク昏睡事件をきっかけにして一気に、一気に表面化。
ゼルイークがいつ眠りにつくかわからないというのを頭では理解していても、実感として分かってい無かったレーンたちは、実際ゼルイークが倒れた途端、それが如何なるものなのかを思い知らされることになる。
一度眠りに付いたらいつ目覚めるかわからないゼル。それこそ何日か、何年か、何十年か、何百年か。それは、もしかしたら永遠の別れになるかもしれない。唐突に目の前から消え去った毒舌の魔法使い、その衝撃にレーンは打ちのめされる。挙句に魔王が現れて、かつてレーンとゼルが約束した光になると言う約束を、永遠のすれ違いの呪いへと変えることも出来るのだと言う恐ろしい言葉を残していく。
もう、レーンたちの心を揺さぶる揺さぶる。その絶望は、恐ろしさは思わず心の奥底に押し込めていた想いを、すがるようにぶつけ合ってしまう理由としては充分以上だった。
レーンにしても、ゼルイークにしても、これは切ない。政治的に許されない恋という以上に、レーンの婚約者であるアレクセル王子がいい人過ぎて、レーンもゼルイークも彼の事が大好きで、大切な存在なんですよね。二人ともその彼を裏切ることなんて出来ない。ある意味、政治的な問題よりも二人に取って彼の存在こそが、この恋を結ばれないものにしてしまったのかもしれない。ほんとに、二人ともアレクセルのこと好きだもんなあ。
とはいえ、アレクセルも馬鹿な振る舞いを趣味としているけれど、馬鹿でもニブチンでもないので、レーンの気持ちについては薄々察しているんですよね。それが確信に至った時の、彼が流した涙が、普段のおちゃらけた彼の姿からは想像出来ないくらいツラそうで、綺麗な涙で、思わずグッともらい泣きしそうになってしまった。アレクセルはいつだって本気だったもんなあ。

ちょっと意外だったのはオルフィリア、リオがはっきりとアレクセルを好きになっていたこと。まだ気になりだしたぐらいの段階だと思ってたんだけど、前回のエピソードですっかり陥落していたのか。まあ、最初に出会ったときから思いっきりフラグは立てていたんで、彼女本人の言う通り、最初から好きだったのがこの前のことではっきり気づいてしまった、といったところだったんだろうなあ。ある意味、彼女は態度がわかりやすくて好きだ。レーンの従兄弟であり、将来的にはラバール王の養子となってこの国の王となる少年、シラルを女装させてレーンに似せてアレクセルがいちゃついて遊んでいるのを、リオがあれだけ怒ったのは、レーンが蔑ろにされているから、じゃなくて、完全に嫉妬だよね。あれだけ易々と動揺してしまって、将来レーンの側近として嫁ぎ先までついていって、永遠に見せつけられるの、耐えられたんだろうか。一生、胸に秘めておくつもりだったみたいだけど、無理だよなあ。
ゼルイークの件がなかったら、王妃はレーンでリオが側室でも良かったんじゃないかと思うんだが。レーンもこの場合、自分から勧めそうだし。

何にせよ、許されない恋である以上、一度は想いを通じ合わせた二人だけれど、それを成就させることはお互い、願わない。ラストは、もうこれでもかってくらいに切ない展開で、秘密暴露会(w)でのゼルイークの告白が、またこの人らしからぬ切々とした柔らかなもので、胸に来た。
もっとも、こんな結末をあのアレクセル王子が粛々と受け入れるかと言うと……、やっぱりこの人がキーになりそうだ。やっぱり、この人が一番素敵なんだよなあ。うまく、リオの想いが通じればいんだけれど。
でも、身分的にも政治的にもアレクセルとリオって、結ばれるにはどういうアクロバットが必要になるんだか。

今回初登場のシラル王子、何気にいいキャラクターだった。ラバール王やアレクセルほどお馬鹿じゃないけれど、楽天的で明るく、でも心配りの出来る気持ちのいいキャラで。
仲の良い親戚として、この四角関係を外から客観的に見ることが出来る立場として、心を痛め悩むレーンを親身になって支えてくれたわけで。何気に今回、彼の存在は重要というか、功績大というか。
この子が残ってくれるならこの国は大丈夫、という安心感も抱けたので、あとはレーンたちの決断次第か。
さあさあさあさあ、盛り上がってきた!