這いよれ!ニャル子さん 4 (GA文庫)

【這いよれ! ニャル子さん 4】 逢空万太/狐印 GA文庫


Amazon
 bk1

突っ込み属性の主人公は沢山いますが、ニャル子さんの真尋くんはその中でも特に好きな部類であります。何を況や痒いところまで届く突っ込みが素晴らしい。ニャル子、クー子の大ボケ小ボケに、しょうもない展開の連続に対して、君はツッコミのガンカタ使いか、と言わんばかりの的確かつ絶え間ないツッコミの連撃は、もはや快感すら感じてしまうのです。
そもそもツッコミとは笑いを誘うための技巧であると同時に、観衆の意を汲み取った鋭くえぐるような指摘が痛快さをもたらしてくれるものなんですよね。その意味では、真尋くんのツッコミは痛快そのもの。スパスパと切り刻むカミソリの切れ味である。

そんな、容赦苛責のない処刑人のようなツッコミをニャル子に対して痛撃し続けていた真尋くんに、なんとデレの傾向が……ニャル子に対してデレの傾向が! ニャル子にデレだした!?

なんとーーー!?

いや、実際前までは何の躊躇いもなくザクザクと突き刺していたフォークを、今回は一度も突き刺さなかった。流血沙汰がなかった。母親が帰ってきて、精神的に安定したのもあるのだろうが、明らかにニャル子たちへの手加減が見られるのだ。
真尋くんのニャル子への認識が、フォークをザクザク突き刺して調教しなければ何をしでかすかわからないアホ宇宙人というものから、何をしでかすかわからない無茶苦茶でどうしようもない女の子、という認識への変化が。あんまり変わってないじゃないか、というなかれ。別に宇宙人だからフォークで刺していいとは人類の未来のためにも思わないけれど、確かに以前までには無かった女の子を見る目でニャル子を見てる気配があるんですよね、真尋くんに。

そして、それをきっちり把握し、シメシメと舌舐めずりして図に乗りかけているニャル子さん(苦笑

いや、そこは女の子らしく可愛く振る舞って畳み掛けにいくところだろうに。良くも悪くもボケをかまさないと死んでしまう病が治らないニャル子さん。なぜ敢えて覇道を行くんだ(笑

ただ、今回は多少事情もあってか、普段よりはおとなしいんですよね、ニャル子さん。少なからずそれが真尋くんの症状を進行させてしまった気配もあるんだが。
というのも、旅行から帰ってきた真尋母が、まあ予想通り変人ちっくなところはあったものの、概ねまともな人物だったんですよね。ニャル子たちの存在を素直に受け入れつつ、真尋くんの保護者としてニャル子たちに恐ろしいほど真っ当な掣肘を加えてしまったので、雰囲気的にニャル子たちもいつものようにデタラメ無茶苦茶をなんとなく出来ない空気になっていたというか。
ちゃんとまともに扱われると、わりと大人しくなるべく常識の範囲内で動いてしまうあたり、ニャル子たちの根っこの部分って案外まともなのかもしれないなあ。
と、あり得ない結論にたどり着いてしまったのでありました。

話の方は、いつも通り壮大な前振りにしょうもないオチ、というパターン。なんだが、相変わらずしょうもないオチのくせに、ネタばらしをされると意外と良く凝ってひねって練り上げてあって、だからどうしたといわれればおしまいなのだけれど、妙に悔しいのである。
おかげで、くだらない、と鼻で笑ってすませられないんだよなあ。なんか悔しい。しょうもないのに、やられたー、という気分にさせられて、なんでこんなしょうもないオチにやられたー、なんて思わなきゃならないんだというところから悔しくなる。
けっこう、ドツボにハマっているかも知れない。
本来なら一発ネタで終わりそうな話なのに、四巻まで来て安定しているというのは、何気に凄いよなあ。

今回は流行りの男の娘が出てますけれど、あの属性はけっこう難しいんだなあ、と実感。