パパのいうことを聞きなさい 2 (集英社スーパーダッシュ文庫)


【パパのいうことを聞きなさい! 2】 松智洋/なかじまゆか スーパーダッシュ文庫

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祐太くんが一生懸命、パパとして頑張っている、その意気込みや努力はわかるんだが、どうもその父親としての責任の果たし方を履き違えている節がある。
娘となった姪っこたちが祐太くんに求めているのは、そういう事じゃないんだよなあ。いや、これは責められないんですけどね。彼は彼なりに、自分の出来ることを出来る範囲でやろうとしているのはよくわかってる。でも、もっとちゃんと見てあげなきゃいけないところに、顔を向ける余裕が全然なくって、スルーしてしまっているのがもどかしくて仕方がない。
それにやっぱり若さ故か、ついつい大学生であることを優先してしまう場合もある。結局、優先順位を取り違えていて、一番大切な部分を一番後回しにしてしまっているのが、胃に来るんだなあこれが(苦笑
本来ならそれをビシッと指摘してくれる人物が居てくれたらいいんだけれど、当事者である空たちは我侭をいうような性格ではなく、自分たちのために頑張ってくれている祐太くんに意見は出来ないだろうし、祐太くんたちの監督者たる叔母さんは、生活態度などはしっかり監督してくれているけれど、微妙な家族間の人間関係を鑑みて助言をしてくれるほどには、そこまではまだ踏み込んで理解してくれてはいないんですよね。
自分はその役割を莱香さんに期待していたんですが、残念ながら一巻では殆ど擬似家族と言っていいほど親身になって裕太たちの生活をサポートしてくれた莱香さんや二村たちは、裕太たちの生活がある程度安定したことで、ちょっと距離を置いてしまってるんですよね。友人関係としては充分近い距離なんだけれど、一巻の家族的、共同体的な一体感からするとやっぱり離れてしまった感があって、少し寂しいやら残念やら。
そのせいかわからないけれど、莱香さんもそこまで踏み込んでは来てくれず。一巻の時みたいに、裕太たちの家の状況を毎日のように見聞きしていた頃とは違うので、今の裕太の家の様子がどうなってるか知らない以上、これは仕方ないんですけどねえ。
莱香さんとの仲の進展もあんまりなくって、これは残念だったなあ。

ともあれ、新たな生活もある程度落ち着いて過ごせるようになり、新しく家族になった四人が、改めてお互いのことをよく知っていく事になるお話、と言ったところでしょうか、今回は。
一巻の時は、まだお互いを気遣い生活を守ろうとするのに必死で、落ち着いて相手のことを見つめる余裕はなかったですからね。
そこで垣間見えてきた、空の本当の姿。これはちょっと驚いた。彼女、外と内とではこんなに性格違ったのか。というか、内弁慶だったのか。最初からハキハキと意見を言うタイプとして現れたので、これは予想していなかった。あの時は、妹たちと離れまいと、守ろうとしていて、それだけ気を張り詰めていたってことなんだろうなあ。その勢いで、叔父である裕太にも強気の態度で接するようになったと。でも、彼女の細やかな性格の端々からは、確かに外での内気で引っ込み思案な姿が垣間見えるんですよね。これは、なるほどと納得させられた。


正直、裕太は小さな子供たちの父親役をやるには役者不足なのは間違いありません。浅慮だし、子供を育てることの何たるかもちゃんと理解出来ていない。親戚たちとの役割分担もわかってないし、考え方が甘い部分も多々ある。
でも、この物語とはそんなあまりに未熟で足りていないパパさんが、そこを踏まえてなお若すぎる父親として一生懸命頑張り、真摯に娘たちのために奮闘する姿を追うものなのですから、失敗も繰り返すでしょう、やっちゃイケないこともやってしまうでしょう、それでも今後とも温かく見守ってやってあげたい。二巻も、そんな思いを抱かせてくれるに充分な良作でした。

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