えむえむっ! 9 (MF文庫 J ま 1-13)

【えむえむっ! 9】 松野秋鳴/QP:flapper MF文庫J

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 bk1

嵐子は、これ自殺行為だよなあ。敵に塩を送るどころじゃない、敵に金塊を送る、もしくは自分を保証人にした白紙手形を送る、みたいな?

勇気を振り絞り、太郎に告白した嵐子。嵐子の事を何だかんだと憎からず思っていた太郎も、これを受けて二人は付き合うようになったものの、それと期を同じくして、石動美緒は二人を第二ボランティア部から追い出してしまう。
なんとか部に復帰させてもらおうと部室にいっても、門前払いで追い返される毎日。せっかく恋人同士になったのに、なぜ美緒が自分たちを追い出してしまったのかが気になってイチャイチャするどころじゃない太郎と嵐子。まあ、嵐子は薄々美緒の行動の原因について推量が出来ているんだけれど、それを認めてしまうのが怖くて、でもこのまま美緒と離れてしまうことは心苦しくて、と板挟みの状態。美緒の謎の行動と、不安げな嵐子の様子、これをしっかりと汲み取れるほど太郎が出来た人間だったら良かったんだけれど……いやねえ、鈍感云々じゃなくてなかなか当事者が異性のこういう微妙で繊細な心の内実を察しろ、というのは難しいもんなんですよ。
自分が極度のM体質であることに加えて、嵐子の酷い男性恐怖症に、美緒のエキセントリックな普段の言動が合わさると、なかなかその過剰で過激な性質から冷静かつ客観的に真実を透かし見ろ、というのも酷な話。その意味では太郎には同情する。
とはいえ、それでも太郎には主体的に動いて欲しかったところである。結局、事態は嵐子の勇気と決断によって動くことになる。
このシリーズ、意外なんだけれど振り返ってみると毎回事態が大きく動くきっかけになっているのは、美緒でも太郎でもなく、一番おとなしく引っ込み思案な嵐子なんですよね。彼女の意志こそが、物語を動かしていると言っていい。
その意味では紛れもなく彼女はメインヒロインなんだけれど、どうしても突いて捏ねたお餅を食べるのは美緒になっちゃんだよなあ(苦笑

相思相愛になっても男性恐怖症が解消されず、太郎に触ることも出来ない嵐子に対して、ラスト、嵐子の引張によってついに自分の感情を認め、太郎を好きだと公言した美緒には怖いものなど何もなく……。美緒ってけっこう無意識無自覚にスキンシップをはかってくるところがあるんですよね。これで、リミッターが外れた日には、ついついベタベタとやってしまうことが増えてしまうだろうことは容易に想像出来るわけで。そうなると、嵐子の劣勢たるや。いや、ここで明確な危機感を得ることで、より決死な思いで男性恐怖症を解消しようと言う動きになるのか。なにしろ、ちょっとでも躊躇ってたら美緒に持ってかれかねないことになってしまったわけだから。
しかし、これで美緒も嵐子も太郎を好きだと言う感情に対して、何の制限もなくなってしまったわけで、これ以降かなりラブコメの様相も変わってきそうじゃないですか。
やべ、これ楽しみかも。

7巻感想