ソード・ワールド2.0  剣をつぐもの4 (富士見ファンタジア文庫)

【ソード・ワールド2.0 剣をつぐもの 4】 北沢慶/bob 富士見ファンタジア文庫

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同じソード・ワールドの名前を冠しているけれど、その趣をガラリと変えてきた【ソード・ワールド2.0】、その最初の小説として世に出たこのシリーズも、この四巻で終幕。
アレクとリリアンナ。二人の少年少女の走り抜けた冒険の終着点、その終わり方が物凄く好みを直撃してくれたんですよね。逃れられぬ宿命を背負う少女と、運命の濁流に押し流されて行く彼女に必死に追いすがろうとする少年。ようやく少年が少女の元にたどり着き、その身も心も二度と話さないと抱きしめることが出来たときには、もう二人とも元居た場所には戻れないところまで来てしまっていたのだった。
故郷にも、家族のもとにも、仲間のところにも戻れなくなり、人間として生きることを諦めなければならなくなった二人だけれど、それでも愛する人が傍に居続けてくれるのなら……。
普通のハッピーエンドとは違い、失うものも多い終わり方だったけれど、それでも二人がずっと一緒だと誓い合う姿には、じんわりと染み入るような幸福感が湧いてきた。
永遠の愛、これもまたハッピーエンドの一つの形だわなあ、としみじみと思う。

ストーリー自体はこの四巻で一気に進んだ感じ。半ば打ち切りだったのかは分からないけれど、蛮王と呼ばれた存在の素性と過去がこの巻一冊で出てきてしまったのはちょっと勿体無かったなあ。リリアンナと照らし合わせる感じで、じっくりと醸成していったら、前世から続くラブストーリーとしてもっと盛り上がったかも。
蛮族についても、もうちょっと踏み込んだ描写が欲しかった。どういう存在なのか、というのがまだいまいち入力出来ていなかったんだよな。これまでは、絶対悪とまではいかないけれど、基本的に邪悪な存在として描かれていたんで、蛮族にも色々といるんだというのが前もってもっと描かれていたら、今回のエーラやトロルたち、蛮族のリーダーだったラーデルハイドについてももっと感情移入出来ただろうし、ラストのシーンなんかもっと感慨を以て受け止められただろうに。その意味では、この四巻が急ぎ足だった、という感じが否めないんですよね。それで、打ち切り? みたいに思ったんだけれど。
【ソード・ワールド2.0】シリーズは、まさにこれから、というべきものですし、出来ればもっともっと盛り上がっていって欲しいですね。