つめたく、あまい。

【つめたく、あまい。】 シギサワカヤ 白泉社

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全十二編の短編集。半数以上が同人誌からの掲載になるんですって。実際、1ページ、2ページとか4ページの掌編も含まれている(というか、この掌編がまたいいんだわ)。
で、全部読んだ上で思ったわけなんだが……このタイトル、至上じゃね?
表題作となる「アイス」と呼ばれる女との話のみならず、元々シギサワカヤの作品ってピッタリと「つめたく、あまい。」って感じがするんですよね。実際、そのタイトルを持ってこられて、中身を読んだからこそ思うことでもあるんだけれど。
この人の作品、事後の、裸でゴロゴロしながら駄弁ってるシーンが多く見られるんだけれど、この人のラブシーンって全然熱くはないんですよね。というよりも、むしろひんやりと冷たいイメージが付きまとう。それなのに、凍えるような冷たさじゃないんだ。どこか甘い匂いのする、トロやかな甘い味のする、爽やかな冷たさなんですよね。
それが、とてつもなく心地いい。
この人の描くつめたさは、思わずジワリと微笑んでかみしめてしまうような幸福感があるんだよなあ。
とはいえ、素直な幸福感でもないんだよなあ。いい具合にヒネクレてる(笑
このグルグルと煮詰まったような感じがメチャクチャ好きだったりするんだわ。

例えば、全裸で寝こけてこりゃあこのままだと風邪ひくなあ、という男に対して、そっとのど飴を握らせて、でもなんとなくむかつくので毛布はかけてやらねえ、というこの複雑に入り組んだ女心(笑

あー、でもこの煮詰まってるところが可愛いんだよなあ。めちゃくちゃ可愛いんだよなあ。つまんないことかも知れないけど、つまんないことだと自覚するまでは深刻なんだよ、うん。で、つまんないからと言ってもくだらなくはないわけだ。真剣なんだから。
人を好きになるって、大変でめんどうで、でもやっぱりたまらないんだよね。
うーん、やっぱりその意味では一番好きなのは、最後の「あなたさえいなければ」かなあ。この彼女が厄介すぎて好きすぎる。
なんでこんな厄介な娘とこの兄ちゃん、長年付き合っていけるのか。それがわかるのが、「すこしばかり困ってる」になるわけか。そりゃあ、こんなの見せられたらねえ。抜け出せないわなあ。可愛すぎる(w
それ以上に、この厄介さが逆にたまらんわけだ。見方次第では、付き合っててメチャクチャ面白いんだろうなあ、彼女。そういうものだと最初から分かってて彼女の言動を受け止めれるなら、そりゃあ楽しいわ。飽きないわ(笑

うむむ、やっぱりこの人の描くラブストーリーにはずっぷりとハマってしまう。しっとりとしたシリアスな部分と、コミカルなやりとりとのバランスが絶妙だし。なにより、登場人物たちの心情に魅せられる。
彼ら彼女らが愛しくてたまらない。
いつまでもいつまでも、ずっと見続けていたい心地を持て余しながら……。

この人の漫画は、もっともっと読みたいなあ。