グリモア―俺の脳内彼女日記 (幻狼ファンタジアノベルス)

【グリモア 俺の脳内彼女日記】 卑影ムラサキwith企画屋/得能正太郎 幻狼ファンタジアノベルス

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夜逃した両親に取り残され、幼馴染の恋人にフラれ、ついでにチンピラに絡まれ、まさに不幸のどん底にいた俺=小笠原勇雄。
そんな俺の前に現れたコスプレ少女=星奈。星奈は、俺がこっそり書いていた妄想ノートの中で設定した「脳内彼女」そのまんまだった!
だが、星奈は俺に言う。
「キミはボクが想像した架空のキャラなんだよ」
卑影ムラサキwith企画屋が描く、青春ラブコメ×本格SFの新境地!!
サイバーパンクの傑作である【BALDR FORCE】や【BALDR SKY】のシナリオライターが作者ということで、両作品のファンとしては押さえておかにゃあ、と手にした本作。ただ、実のところそれほど期待はしていなかったんですよね。あらすじにあるように、ヒロインはいかにもオタク少年の妄想の中から具現化したような銀髪でオッドアイのボクッ娘少女。
カオスヘッドのような例外はあるけど、個人的にはこういう脳内妄想やオタクのコンプレックスと向きあうようなオタクの内面に向くような話は好みじゃないんですよね。以前も、エロゲのシナリオライターがこの類の作品を出して、評判は非常に高かったのだけれど、私はあんまり馴染めなかった、というのがあったので。

ところがどうしてどうして。
事前に予想やは想像で思い浮かべていたシナリオ構成が、話が進んで徐々に事実関係が明らかになっていくにつれて、あれ? あれれ? と確信に疑念が浮かび上がってきたところで、一気に全体を覆い隠していた壁紙が引っペがされ、入り組み錯綜しまくっているけれど精緻なくらいに綿密に組み上げられた真相が明らかになり、もう呆気。
それでも、この錯綜っぷりに理解が及んでいなかったのだけれど、後半の畳み掛けるような展開は、同時にこの入り組んだ状況を実にわかりやく紐解いていく行程にもなっていて、怒涛の展開に翻弄されながらも乱舞するクエスチョンマークは気持ちいほどすっきりと解消されていく。
これは、快感だわ。
いやあ、これは様々な伏線や設定が仕込まれ、巨大なグランドデザインに基づいて全体像を手掛けて、それを個々のヒロインのシナリオに落とし込んでいき、全部プレイし終えたときに全体像が浮かび上がる構造を構築するという、長編のノベルゲームのシナリオライターの面目躍如ともいうべき、職人芸というべきか芸術的というべきか、いずれにしてもお見事な構成力だわ。
さすがにノベルゲームと違ってページ制限があるせいか、ある程度急ぎ足だったり詰めが甘い部分があるのかもしれないけれど、自分は殆ど気にならなかったなあ。
キャラクターについても、それほど突き詰めてはいない様子。キャラの魅力云々ではなく、シナリオで勝負するタイプの作品だからか。
あらすじからくる印象や、冒頭の始まり方からすると、これはまるで想像出来ない終わり方で、思わずあいやー!!と喝采をあげてしまった。
すごいすごい。んでもって、面白かったーー♪