偽りのドラグーン 3 (電撃文庫 み 6-26)

【偽りのドラグーン 3】 三上延/椎名優 電撃文庫

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前の巻の感想で、ジャンとティアナ。お互い隠し事やわだかまりもなくなり、本心から繋がることの出来た二人の関係、これから劇的に進展しそう。と書いたんですが、読んだら本当に劇的に進展していた件について(笑
不信と警戒でギスギスしていたあの頃の二人の関係が、今となっては想像出来ないくらい、なにこの二人の仲の良さw これまで離れて過ごしていたのを取り戻すかのように、どこに行くにも一緒だし。まあ、ジャンは大して何も考えていないんだろうから、変わったのはティアナの方か。
以前の二人のギクシャクの原因の大半が、ティアナの態度にあったわけですしね。それが、ジャンへの隠し事がなくなり、自分のトラウマを曝け出し、その上でジャンが自分の全部を受け止めてくれるという決意表明までしてくれた以上、もう不器用にジャンと距離を置こうとする必要もなくなったわけで。その途端に、片時も離れないようにひっついたまま、というのが小動物的でカワイイじゃないか。
普通に仲良くすることに障害がなくなったらなくなったで、即座に今度は男の子として意識しだすあたり、デレだしたら止まらんって感じだなあ(笑

竜と人間は結婚できないと決まっているのだけれど、どうやらそれは遺伝的な問題があるわけじゃなく、単に歴史的経緯に基づく政治的な政策に過ぎないようだ。あくまで竜の帝国の国益を鑑みての政策であって、当人たちに覚悟があるのなら比較的高い障害とは言えない。人間の側からしたら、何の関係もない話ですしね。
民族的な禁忌の意識が竜の側にあるのかとも勘ぐっていたのだけれど、どうやらそういうのもあまりないみたいだし。
だったら、男と女がいりゃあ愛が生じてしまうのは必然じゃないですか。

今回新登場のサラの大公家は、まだ竜側が人間との結婚を禁止する前に竜の血が入っている家系であり、竜と人間との混血が実在しているという現実をティアナに突き付ける。これで、ティアナは竜と人間との結婚がおとぎ話ではなく、かつては普通に行われていたタブーでもなんでもないものだと実感することになる。
さらに、これはティアナ含め当人たち以外は知られていない事だが、リアルタイムで恋人同士の人間と竜のカップルが学院の中に存在したのだ。
正直、このカップルには度肝を抜かれた。

まさかまさかの、マグノリア先生!

ありえねーーー!

しかも、相手が鍛冶屋の親父ラフエッジときたもんだ。ラフエッジ、てっきり典型的な鍛冶屋の親父らしいヒゲもじゃ親父だと勝手に思い込んでたら、テライケメンだった件について!!
確かに前から得体の知れないというか、懐の広いところがあって、何気なく助言をくれたりしてくれてたけど、元騎士候補生だったのか。親父じゃなくて、兄貴分的な立ち位置だったのね。
しかも、あのマグノリアを完全に手玉にとってるー!? マグノリア先生といえば、口を開けば「死ねゴミクズ!」「黙れ、クズが!」「言うとおりにしろ、ゴミクズ野郎!」
と、情け容赦なしに生徒たちを罵倒しまくる鬼教官。おまけに、学院長相手ですら舐めた態度を崩さないあのマグノリアが、えらいことに。ドえらいことに。

なんてこった、マグノリア先生がヤバいくらいカワイイんですけど!?
うわぁ、口では文句いいながら、めっちゃ従順なんですけど。あのマグノリア先生がデレてるんですが。
こ、これがホンモノのツンデレってやつなのか……。


デレモードといえば、クリスが完全に色ボケしている件について(苦笑
これは、色ボケと言うのが正しいよなあ。ジャンにもう夢中で他のことに関しては殆ど目にはいっていないと言うか、周りが見えていないというか。テンションの上げ下げも激しいの何の。それが思いっきり、狙撃の調子に現れてしまっているのが、わかりやすい。クリスって案外性格的に単純なのかなあ(苦笑
それでも、恋する女の子モードに入ってしまったクリスからは、どうやら匂い立つようにフェロモンが溢れ出しているらしく、ジャンは元より関係ないアダマスまで色気にあてられてしまっている始末。何気に傾国の素質でもあるのかも。

そのアダマスは、やる事なす事上手くいかずに、どんどん馬脚を顕す羽目に。心根の卑しさが、余計に自分の立場をドツボに陥れてってるんですよね。それでいて、まるで同情心を喚起されないというのも、なんとも大した輩である。
多分、スタート地点ではジャンとアダマスって人間の出来栄えに関してはそれほど変わらなかったと思うんですよね。それが、アダマスの転落っぷりとは裏腹に、ジャンの方は最初のバカで短気で考えなしで短絡的というどうしようもない頃からすると見違えたように、人間性が成長している。こいつどうしようもないな、と思うことが見ていてなくなったもんなあ。
このまま行ったら、ヴィクトールの名前に名前負けしないだけの器になれるんじゃないだろうか。

そのヴィクトール。本物のヴィクトールの思惑や事情もちらほらと明らかに。今回のゲームで見せた彼の生来持つと思しき特性。それが、ヴィクトールが生理的に竜を受け付けない、という点と絡んでくるんだろうか。
竜と人との結婚、という話と合わせて、この巻の主題は人と竜との関係、って感じだったなあ。

肝心のティアナとジャンとの関係は、ラストでティアナがヴィクトールの事を知ってしまったことで、改めてジャンに対して隠し事が生じることになるんですよね。
ただ、今回のは以前の自分を守るための隠し事と違って、ジャンを思って胸に秘める決意をしたわけで。またギクシャクしなきゃいいけれど。でも、ティアナも不器用だからなあ。その辺は、成長したジャンが上手いこと受け止めてくれりゃあいいんだが。この小僧には難しい注文か?

2巻感想