ダンタリアンの書架5 (角川スニーカー文庫)

【ダンタリアンの書架 5】 三雲岳斗/Gユウスケ 角川スニーカー文庫

Amazon
 bk1

幽霊列車の記事を新聞で見つけたダリアンとヒューイ。貨物専用のはずの路線にあらわれた特別急行。飛び乗ったダリアンたちは、車内で幼い少女と出会う! 謎の鍵を握るのは一冊の時刻表? 人気シリーズ第5巻!


今回は準レギュラークラスの登場人物たちが活躍するお話を集めてみました、というテーマらしく、天下無敵の幼馴染カミラに、ポニテ娘の女学生ジェシカ。そして、本編初登場の赤の読姫と教授のコンビというところで、そろそろメンツも出揃ったってところでしょうか。
ちなみに、猫のヒースも追い出されてない所を見ると、ヒューイの屋敷に居着いてある意味準レギュラー化するのでしょうか。

と言うことで、今回も短編四話、掌編三話という構成。ただ、初めて短編全四話ともヒューイとダリアンの話になってますね。


第一話【時刻表】

幼馴染のカミラが如何にしてあのような自由闊達天衣無縫すぎる性格へと至ったのか、が明らかになる過去との邂逅編。
結論、あの性格は生まれつきですw
幼い頃に鉄道事故に巻き込まれ、そこで母親をなくしていると言う壮絶な過去を持っている彼女だけど、別にその事故が彼女の人格形成に影響を及ぼしていたとかそんなことはなかったぜ。
この物語の結果からして、母親があの事故で死んでいようと生きていようとカミラの性格が変わっていない所を見ると、母親の存在はあんまり彼女の人生に影響を及ぼしていないっぽいなあ(苦笑 
ちなみに、ここで出てくる幻書<オールド・ブラッドショウの時刻表>は、世界で最初の時刻表といわれている、かのホームズ氏もご愛用の<ブラッドショーの鉄道時刻表>のことと思われ。


第二話【猫と読姫】

第一話が過去へと紛れ込む話だとしたら、コチラは未来とすれ違うお話と言えよう。
特別な力を秘めた幻書と呼ばれる魔書は、安易に仕えば使用者のみならず周りの人間をも巻き込み破滅をもたらす危険な代物であり、なるべくなら封印されて然るべきものではあるけれども、場合によっては何の力も持たない幻書ではない普通の書物もまた、世界を破滅させる要因に成り得るというお話。
これは確かに、大元の知識を立たないことには絶対に防ぎ用のない問題だわなあ。あからさまに危険な知識と違って、これは予見のしようがないだけに。

ちなみにこの話で興味深いのが、夢のなかのダリアンなんですよね。彼女の正体は壺中の天と呼ばれる宝貝の一種、とされているのですが、もちろんその事実は揺るがないのでしょうけれど、どうもダリアンにはさらに秘密が隠されていそうな気がしてきた。
公主(プリンセス)と呼ばれていたこと。そして、夢の中では彼女の話し方がいつもと違っていたこと。
はてさて。


第三話【航海日誌】
一話に鉄道を持ってきて、今度は船と来たか。これで、旅客機のお話があれば地海空ときて完璧だったのだけれど。
たぶん、また出てくるだろうなあと思っていた女学生のジェシカの再登場回。ヒューイを慕っている事からヒロイン的にカミラの対抗馬になり得る存在かと見込んでいたんだが、どうもこの娘、思っていた以上に小娘だなあ(苦笑
折角のヒューイとのクルージングというシチュエーションにも関わらず、うまいことヒューイに粉をかけるのも失敗して、殆どダリアンと仲良く口喧嘩してるばっかりで。あー、二人とも仲がいいねえ。同レベル(笑 でも実際、ダリアンの口の悪さとジェシカのすぐにムキになって言い返す性格は、今までの登場人物の中でも一番波長が合ってるっぽいんですよね。ダリアンも普段に比べても、ジェシカと言い合ってる様子は楽しそうですし。


第四話【つながりの書】

各所で暗躍を繰り広げていた赤の読姫と教授の二人組と、ダリアンとヒューイが初めて邂逅するお話なわけだが……なんか、揚げパンに全部持ってかれた気分だよ!(笑
一応ダリアン、聖書の一節っぽく「人は揚げパンのみに生きるにあらず―」とか口に出しては言っているにも関わらず、洗脳感染した信者たちがみんな「揚げパン食べたいですぅ」とトリップしているのはどういうわけなんだ?(ww
信者の脳を連結してネットワーク化することで、超高速の演算機として利用すると言うのは最近よく見かけるようになったなあ。とあるシリーズのあれが元ネタなんだろうけど、これのさらに原点ってなんなんだろう。

このシリーズの、というかヒューイとダリアンの面白いところは、彼らが状況に応じて自分たちが持つ必要な幻書を使用することを躊躇わない、ってところなんですよね。第三話でもそうだったけど、普通なら主人公側が使うものとは思えない効果を発揮する幻書を、うまいこと使って難局を乗り切っているのです。この応用能力は瞠目スべきところだし、危険な力を秘めた幻書をただ危険物扱いせず、さりとて必要以上にのめり込まず、あくまで単なる道具として使いこなしているのは、ヒューイという主人公の特殊性でもあるんですよね。

赤の読姫を擁し、幻書を巡る暗躍を繰り広げる教授と邂逅したことで、さて本編が動き出すのかはまだ分からないけど、そろそろ舞台に登場人物は出揃ったという雰囲気ではあるんですよね。
進展を期待したいところでもあるし、でもネタが続くならしばらくまだこの短編形式を続けてほしくもあるし。まあ、その辺はフラットに待つ姿勢でいます、はい。

1巻 2巻 3巻 4巻感想