SH@PPLE  ―しゃっぷる―(9) (富士見ファンタジア文庫)

【SH@PPLE しゃっぷる 9】 竹岡葉月/よう太 富士見ファンタジア文庫

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双子の入れ替わりラブコメディもこれにて完結。
あー、やっぱりこうなってしまったか。この結末はハッピーエンドなんだろうけれど、個人的にはあの失恋の先の物語を読みたかった、というのは7巻の感想でも書いたところ。苦い痛みの先に育まれていく新しい愛情、というものも読んでみたかったんですけどね。と、みっともなく愚痴ってしまうのは、やはり鳥子さんがあまりに痛々しい有様になっていたからなんでしょう。
結局、雪国は最後まで自分を想い信じてくれた人たちを傷つけ続けてしまったわけだ。それを許してもらえたのは彼の人徳なのだろうけれど、彼が自分のエゴで鳥子にも典子にも蜜にも最後まで真正面からガチンコで勝負する機会を与えなかったのは疑いようも無い事実。たとえ知り合うきっかけが彼ら姉弟のエゴがなければそもそもなかったのだとしても、途中でなんどもちゃんと向き合う機会はあったはずなのに、それをズルズルと引き伸ばし、目を逸らし続けた結果が蜜の将来をも危険に追い込んでしまったのだから、正直言って私はこの雪国くんとカッコイイとは最後まで思えなかったですね。ほんと、ヒドいやつだと思うし、彼のやらかしたことは何から何まで認められない気持ちです。
でも、そのみっともなさは大いに共感と愛おしさを感じるとことでした。嫌いになれない、憎めない、そのしょうもない踏み外しっぷりには、なぜだか親しみすらをも感じてしまう。うん、そこが彼の人徳なんだろうなあ。

一方で、芝目会長の自身の体たらくと失敗へのきっぱりとしたけじめのつけ方には背筋が伸びました。この人は何だかんだと自分のこと、舞姫のこと、事の良し悪しや自分たちの行動の及ぼす影響など、実に正確に認識しているんですよね。だからこそ、自分が超えてはいけない一線を私利私欲のために超えてしまったことが許せなかったんだろうなあ。いっそ、高潔と言って過言ではないほどの振る舞いには、この人もしかして舞姫には勿体無いくらいの人なんじゃ、とすら思ってしまったw
でもまあ、このシリーズが終わって何が一番良かったって、会長と舞姫がなんとかイイ感じになってくれたことだよなあ。雪国たちよりもむしろ、舞姫たちの方が気に掛かっていた身とすれば、この結末こそハッピーエンドと言っていいのかもしれない。
まあ、意外なことに会長がおろおろと狼狽えるのはデフォとして、案外舞姫の方も大変そうなのは、ちょっとざまあみろと思ってしまった。でも、ああいう態度をとれるというのは自分に自信があるからなんだろうねえ。自分以外に靡くわけがない、と思ってそうだよなあ無意識にw

読み返しても、鮮烈な印象として残るのは鳥子のメールの内容だったり、典子の雪国への痛切な一言だったりと、ヤッパリメインヒロインよりも失恋することになった二人の方が存在感にしても魅力にしても大きかったような気がします。鳥子さんは打ち込むものがあるからまだしも、典子さんは色々としがらみが多そうで大変そうなんだが、それでも二人にはこんどこそ、失恋を乗り越えた、痛みの先にある力強い幸せを手に入れて欲しいところです。

そういえば、裏表紙のあらすじ。帯に書かれている部分と帯に隠れた部分、内容が違ってるんですが!? 色々と最後まで仕込んでるなあ。

6巻 7巻感想