パパのいうことを聞きなさい! 3 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【パパのいうことを聞きなさい! 3】 松智洋/なかじまゆか スーパーダッシュ文庫

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最初の一巻が、裕太と三姉妹が家族になる話だとしたら、二巻は四人が実際の生活の中でどうやって家族として暮らしていくのかを確立するための話だったような気がします。つまり、もう二巻でこの四人は一応なりとも家族として暮らして行く上での安定した日常を手に入れる事に成功しているわけです。
そうなってくると、あとは四人で生活していくことに一杯いっぱいだった中から、徐々に外へと余裕を向けて行くこと。2巻の空の部活のお話で既にその端緒には踏み込んでいたけれど、この巻ではもっと肩肘をはらず自然な形で、幾つかのイベントを経ながら友人たちに、親戚たちに触れ合いを広げていく事が叶ってました。
みんなに余裕が戻ってきたからか、どこか安心してみていられたなあ。切羽詰った中で変にラブ寄せを拗らせてどこか息苦しい雰囲気があった二巻よりも、落ち着いてじっくりとアットホームな展開を追求している感じでもありましたし。
特に良かったのが、一巻から常に厳しい態度で四人の生活を監督してきた伯母さんと、さらに打ち解ける話。言われてみると、裕太たちのためとはいえ彼らの生活態度をきっちりと監視し容赦のないお小言をくれる伯母さんには、裕太たちもどこか腰が引けてたんですよね。伯母さんも、親身になってくれているけれど、どこか一線を引いているみたいなところがあって、ギクシャクした部分があったのも間違いなく、いつも助けてくれる人だっただけにちょっとこの距離感には違和感というほどじゃないんだけれど、親戚同士身内なんだからもう少し打ち解けてくれないかなあ、と頭の片隅で思ってたんですよね。
それを、今回じっくりと、それも思っていた以上に温かい形で両者の距離を埋めてくれたのは、なんだか嬉しかったなあ。考えてみると、お世話されてばっかりで伯母さんの今の生活とか全然知らなかったんだもんなあ。
今回のエピソードを通じて裕太と三姉妹が伯母さんの背中に垣間見たのは、懐かしい姉の姿であり義母の姿。そうなんですよねえ、この人は他人なんかじゃなく、もういない裕太の姉であり三姉妹の母親であるあの人と、間違いなく血の繋がった身内の親戚なんですから。
伯母さんも厳しさは変わらずともどこかあたりが柔らかくなって、三姉妹のことを本当の自分の娘みたいに感じてくれた雰囲気があって、うん、良かったなあ。

二巻では家が離れてちょっと絡みが少なくなった大学の友人達も、今回はしっかりと遊びにきてくれてたし。仁村の頼りになる親友スキルは高騰がとどまるところを知らないなあ! 疲れてる裕太や空たちの代わりに晩御飯準備、朝起きたら翌朝の支度してあって、ってどんな世話好きな幼馴染だよ!(笑
マジでこの男、娘の一人をあてがって義理の息子として引き入れた方がいいぞww
美羽あたり、性格的にも相性良さそうだしさ。まだ10歳の小学生だけど。
うーん、そうなんだよなあ。美羽ってまだたったの10歳なんですよね。思えばこの歳でしっかりしてるよなあ。まだ三歳のひなは当然として、長姉の空だって中学生なのに、というか中学生ゆえか情緒不安定なところがあるので、この三姉妹の精神面を支えているのは間違いなくこの金髪美少女なんですよね。小悪魔っぽい容姿や言動だけど、その実一番献身的で健気で自分を後回しにして周りを助けようとするところがあるし。この娘が凄いのは、そうした部分をほとんど他人に悟らせない所なんだよなあ。そして、周りのことをよく見てる。空や裕太みたいに、責任感の意味を履き違えないし。この家族を屋台骨となって支えてるのはこの娘なんですよね。
その意味では、美羽にはちゃんとした見返りというか、彼女の努力や献身に見合う報いを与えて欲しいと思っていたので、今回きちんとそのあたりをやってくれたのは良かった。

莱香さんと裕太の関係の進展も、ちょっとはあったのかな、これ。空には悪いけど、裕太には莱香がお似合いだと思うよ。超絶美人だけれどその言動は変人な莱香さんの少し寂しい過去と、裕太と出会った意味。うーん、もしかして今回、ちょっとどころじゃない進展、フラグ立ったんじゃないのかなあ。莱香としては自分が気にしている部分をあんなふうに言われたら意識しないわけがないだろうし。あの裕太の発言を聞いたときには、あー、莱香さんにはこいつしか無いな、と思ったもんな。
これは穿った話だけど、美羽に裕太のこと好きなのかと冗談交じりに訪ねられた時、普段の莱香だったらあんな曖昧な答え方するのには少し違和感があるんですよね。もっと惚けた面白い回答をするような。

まあこの作品において全方位から愛でられまくってるのは、ひななんですけどね。さすが凶悪可愛い三歳児。実際、子どもが一番可愛いのはこのあたりだもんなあ……うんうん。