こいびと以上、ともだち未満 はぶてる彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【こいびと以上、ともだち未満 はぶてる彼女】 みかづき紅月/双龍 スーパーダッシュ文庫

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方言少女と言ったら、やっぱり広島か土佐だよなあ、うんうん。とはいえ、方言云々はほとんどプッシュされないんですよね。なにしろ、田舎の方言少女が都会に出てくる話じゃなく、主人公がド田舎に引越してボーイ・ミーツ・ガールする話なので、実のところ主人公以外はみんな方言を喋ってるので、それがメインヒロインの真姫のセールスポイントとして働いているわけじゃない。
かと言って方言が意味がないというのでは決してないんですけどね。あの広島方面の言葉遣いの真姫は、可愛かったし。でも、それはあくまでアクセントに過ぎず、というかアクセントに過ぎないところに控えた点に作者の意気込みを感じるなあ。真姫というヒロインを描くに当たって、方言という表面的な記号に頼らず、その人物像そのものに持ってきたのは好感度が高い。実際、真姫の清廉な頑張り屋のところは、とても魅力的に描かれていたと思う。登場当初は主人公への接し方が妙に酷くて話もあんまり聞かないし、なんだコイツはと思う猪突猛進なところもあったけれど、彼女の態度にもちゃんとした事情があり、それがわかると主人公への辛辣な態度も、複雑な気持ちも理解できる。特に、一緒に過ごすうちに打ち解けてきたあとの、真姫の雅久斗への不安定な接し方は、真姫が雅久斗の存在を認められず、でもその理由は彼本人の責任でも意志でもなくて彼は何も悪くないと言うことをちゃんとわかってしまっているがゆえに、なにより雅久斗が心を許すに足るイイやつだと肌でわかってしまっているだけに、どうしたらいいかわからない、という部分が鮮やかに出ていて、素晴らしい掘り下げ方だったように思う。

そんな彼女の真っ直ぐさ、頑張り屋な部分がしっかりと描かれているだけに、彼女の在り方を頭ごなしに無視し、否定し、蔑ろにする田舎特有の排他性、因習。そしてその権化であり象徴である祖父の言動には後半、本気で頭にきた。実際はまだまだこんなもんじゃないのかもしれないけど、このレベルでもうどうしようもないと思わされる。こんな事が常識としてはびこっているのなら、若者が田舎を捨てて街に出ていくのは仕方の無いことだぞ。
あとで爺さんの人間性についてはフォローはされているけれど、正直だからどうした、という感じ。本心なんて実際に言葉にしてもらわなければわからないし、真姫に対する言動は謝罪して然るべきものだと頑なに思う。

にしても、この田舎の雰囲気は素晴らしい。駄菓子屋とかそういうわかりやすいイベントがなくても、何気ない登校風景や学校の雰囲気など、感覚的な部分から街のそれとは違う喧騒から外れた独特な空気が流れていて、これはホント、素晴らしかった。

タイトルに関しては、最後まで読んだけど「???」。はぶてる、という方言の意味については最初の方にちゃんと説明してくれてるけど、そんなにはぶてってたかなあ。というか、作中の真姫のガァァァッとした態度が一貫してはぶてる、だったのか? こればっかりは、普段使っている人の感覚でないとわからない部分なのかも。
あと、恋人以上、友達未満というのも……。これ、普通に友達以上恋人未満じゃないのか? まあ、友達以上恋人未満というと、どうしても両思いだけど恋人になりきれてない二人、というニュアンスで受け入れられているので、違うっちゃ違うのかもしれないけど。

葉南が勉強した「ともだち」の意味が最初よくわからなかったんだが、そうか、あの「ともだち」か(笑 いや、原作も映画も見てなかったから、ピンとこなかったんですよね。