ワールド エンド ライツ2 (HJ文庫)

【ワールド エンド ライツ 2】  花房牧生/植田亮  HJ文庫

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表紙絵の後ろの方で、こっそり自己主張してるのはあれ、金髪の魔女なのか由希菜なのか。前髪の様子からして由希菜の方っぽいなー。

仮想現実世界【アナザー】に隠されたゲーム。MMORPG《ヴァルプルギス・ナイツ》にて冒険を続けるユウマとオリエの前に、【不死者の王】の名を冠された強敵・エンドバウムが現れる。この“計画された”遭遇には、魔女の如何なる意図が隠されているのか!? 世界を揺るがす大剣《ノーザンライツ》を手にした少年の、次なる闘いが幕開く!

なるほどなあ。いやね、今回この二巻を読んでて微妙な違和感みたいなものが纏わりついていたんですが、どうもその理由は自分の意識の中にあったMMORPG小説の常識とこの作品の特徴のズレにあったらしい。普通のMMORPG小説を読んでいるつもりだったんで、変な感じに思えたんだな。
というのも、普通のMMORPG小説って大概、現実世界とネット世界はある程度区切られてお互いにオミットされてるケースが多いんですよね。つまるところ、現実世界から独立したひとつの異世界としてネット世界が、ゲーム参加者の中では確立しているんですよね。もちろん、ネット世界とリアルが話の流れの中で重要な関連を持ってくるケースや、ネットの中で育んだ人間関係がリアルまで波及して行く話などは決して珍しいものではない。
ところが、このワールドエンドライツはそれらとはどこか違っていて、MMORPG《ヴァルプルギス・ナイツ》の世界はあくまで厳然とした現実世界の延長線上なんですよね。オリエや、今回加わる新キャラクターたちも、リアルでもしっかり面識があり、連絡を取り合い、普通に遊びに行ったりする友達同士であって、ネット世界でのみ交流する独立した間柄ではない。そもそも、主人公の優馬がこのゲームをプレイするようになったのは、現実世界で行方不明になっている妹の痕跡をこのMMORPG世界で偶然見つけたため。そして、優馬たちのゲームプレイ進行に、ゲーム製作者たちリアルの人間が積極的に関与してくるという構図。なにより、幼馴染の由希菜の説得というか説教があったとはいえ、優馬は自分が妹の行方を辿る手がかりをこのゲーム内で探している事実を、自分の父親や親族に告げて協力を乞う事になる。父親は突拍子もない息子の言を信じて、リアルの方から調査を行ってくれることを約束してくれるのだ。
つまり、このMMORPGは独立した異世界として存在するのではなく、現実世界で発生している行方不明事件の謎の根幹であり、その謎を解明して行く上での舞台装置として機能しているわけです。
そういう視点で作品を捉えていくと、優馬たちを巡る、ゲームとしては明らかに破綻している恣意的なイベントの連続も、魔女たちのあまりに理不尽なパラメーターの弄り方も理解が及んでくる。
とはいえ、この《ヴァルプルギス・ナイツ》を単純なゲームと考えるには非常に不気味な点が多々あるわけです。妹そっくりの青い髪の魔女の秘密。<サウスオブヘブン>から聞こえてくる声。人の魂を基板としたデータ。
なにか得体の知れない魔法めいたものが、この物語の底には横たわっているような不気味な雰囲気があるんですよね。それこそ、ゲーム的な魔法とはまるで違う、もっと生々しくおどろおどろしい何かが。
恐らく、メイン進行はこのまま《ヴァルプルギス・ナイツ》内を中心に進むのだろうけれど、現実世界の方でも何らかの重要な出来事が起きてきそうな予感。オリエも、単なる偶然から優馬を手伝ってくれる仲間になったわけじゃなく、彼女にも《ヴァルプルギス・ナイツ》で見つけなきゃならない懸案がある事がわかったし、それが優馬の妹の失踪と底辺で繋がっているのなら、これは一個人の失踪では済まないかなり大規模なナニカが進行しているということになる。
由希菜も、なんか黙ってないみたいだし。そりゃあ、友達たちがみんな幼馴染と一緒に同じゲームしてたらねえ(笑
そして、衝撃的なラスト。さあ、事件が本格的に動いてきた。


追記:あの悪趣味極まる不死者の王、モデルは絶対あれだろう。ダイ・アモン! って、今時の子は知らんかな(苦笑

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