とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 5 (電撃コミックス)

【とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 5】  冬川基 電撃コミックス

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ああ、美琴は違うんだ。
御坂美琴が必死になってこの実験を止めようとしていた理由、原動力、根源をちょっと見誤っていたのかもしれない。彼女が必死になって不眠不休で実験関連施設を破壊して回り、実験を中止に追い込もうとしていたのは、勿論御坂シスターズが理不尽に殺されていくのを止めたかった、彼女らを助けたかった、というのもあるんだろうけれど、それ以上に美琴、自分自身のためだったというのがこの巻の彼女の様子を見ていると伝わってくる。彼女の中にあるのは怒りでも善意でも同情でも厚意でもなんでもない、彼女を駆り立てているものは純然たる恐怖なのだ。この狂いきった実験の根源に自分が関わっていること、自分が差し出したサンプルがすべての発端となってしまったこと。彼女を蝕む悪夢は、妹たちの姿を取り彼女を責め立てる。殺されるために生まれてきた妹たちが、その恨み辛みを美琴にぶつけてくる悪夢。すべて、お前が悪いのだと。
眠ることも出来ず不眠不休で実験施設を潰して回る行為は、時間をかけなければ掛けないだけ妹たちが死ぬ可能性が低くなる、というのもあるんだろうけれど、それだと美琴が施設破壊を開始した、正確には実験の存在を知ってしまった直後からの三日間、何も喉を通らず食べ物を口にできなかった、という事実の理由にはならない。
美琴はあの上条さんのように正義感から妹たちを助けようとしているのではない、純然たる恐怖と罪悪感から逃れるために、自分が救われるために必死になっているのだ。それを悪いこととは全然思わない。むしろ、浮世離れした上条さんのそれよりもよほど親近感が湧く。
他人事ではなく、自分のこととして、彼女は正しく、自らが負うべき責任を果たそうとしているのだから。

そして、原作では見ることの出来なかった学園都市の超能力者レベル5たちの饗宴。一方通行と超電磁砲のそれも見所たっぷりだったけれど、それよりもむしろ注目は御坂美琴と第四位・原子崩しの麦野沈利のガチバトル。学園暗部の実働部隊<アイテム>の本格戦闘こそが一番の見せ場でしょう。特に、アイテムのフレンダ。彼女は原作では能力のひとつも明かさぬままあんなことになっちゃったわけですし。彼女の実力が存分に見れるのはとある科学の超電磁砲だけー。
この子もなー、体晶使って疲弊している滝壷に何気なく優しいこと言っちゃってるのを見ると悪い子じゃないんですよねー。まあ、なんで麦野がフレンダのことあんなあっさり切り捨てたのかの理由はなんとなくわかってしまったけど。あの調子だと色々と積もり積もったもの、あったんだろうなあ(苦笑

しかしなるほど、アイテムの、というか麦野と滝壷の連携は、あれは確かに強力だわ。むしろ今回のような室内戦の方が威力を発揮するのか。見えないところから直撃をくらわしてくるんだし。ただ、今回に関しては美琴のコンディションが悪すぎるのも考えどころなんですよね。せいぜいこれ、万全時の半分以下なんじゃないだろうか。はたしてこの時美琴が万全だったなら、状況はどうなってたんだろう。純然たる能力の強さにおいては、美琴の方がやはり強いみたいだけれど、麦野は自己保存のために意図的に威力を落としているという話しだしなあ。まあ、戦闘というのは単純なスペックじゃなくて、状況によるものなので状況設定を定めずに論っても仕方ないのだけれど。

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