ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)

【ドリフターズ 1】 平野耕太 ヤングキングコミックス

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歴史上の偉人たちが異世界に集められ、世界を呪い憎悪し滅ぼしつくさんとする廃棄物と、漂流者とに別れて大戦争。昂ぶる! これは昂ぶる!!
織田信長好きの自分としては、信長が魔王として敵側にいるのではなく、主人公側として参戦してくれたのが嬉しすぎるんですけれど!! しかも、何を思ったのか自分が引っ張るのではなく島津豊久を神輿の上に載せて、自分は黒幕とか。やっべえやべえ。
どうもフィクションでもノンフィクションでも描かれる信長って人間離れしすぎている部分があって人間味が感じられないものが多いのですけれど、この信長はいいなあ。平野耕太のギャグに合わせているというだけではなくて、この信長は人の親としてキャラ立てしてある。関ヶ原の島津の退き口から迷いこんできた島津豊久に、本能寺のあとどうなったかを聞かされるのですけれど、そこでこの信長はちゃんと自分の息子、後継者であった信忠について尋ねてるんですよね。そして、息子が死んだと聞かされて、罵倒しながら悲しんでいる。ちゃんと悲しんでいるんですよ。もう、これで一気にズキュンと胸を打ち抜かれました。
信長ってそういう印象が薄いのかもしれませんけど、身内にはすっごく甘い、というか親族を大事にしてるんですよね。弟である信行(信勝)を討ち取り、同じ織田一門を排除して尾張を手中に収めたことから、身内にも容赦しない冷酷な印象がありますけれど、優秀だった信忠以外の息子たちも何かと優遇しようとしてましたし、信勝以外の弟たちや叔父たちも同様。女の身内だって、実はお市以外は自分の手の届く範囲にしか嫁に出してないんですよね。逆にいうと、それだけ浅井長政を信用してたってことなのかも。その上、自分に反逆した信勝の息子である信澄なんか、当人が出来物だったこともあるけどやたらと取り立てられて親族衆では出世頭にまでなってたくらいで(まあ、あんまりにも信長に可愛がられてたんで、本能寺の時にどさくさに紛れて織田信孝に殺されたって話もあるけれど)。
まあそんなこんなで、信長にはそういう情の厚い面もあるのですよ。このドリフターズでは、信長のそんな一面を強く表に出している節があるんですよね。まだ単行本になってない話で、豊久に息子の影を見ている風な素振りもあったし。

とにもかくにも、メンバーが燃える。このラインナップを見て喜ばないやつがいるのか? 日ノ本組の島津豊久、織田信長、那須与一に、古代からはあのハンニバル・バルカとスピキオ・アフリカヌスが。そんでもって、新大陸のワイルドバンチ強盗団に、WW2からデストロイヤー、菅野直ときた。デストロイヤー菅野と言えば、ストライクウィチーズにもキャラがいる人だけど、まさかWW2からも来るとは。もはやなんでもありだな。でも、この人戦闘機パイロットなんだから、戦闘機の弾薬や燃料が尽きたらどうするんだろう。それはワイルドバンチ強盗団も同様だけど。作中でももう弾が少ないとか言ってたもんなあ。
ワイルドバンチ強盗団って、実はよく知らなかったりするんですけどね。映画の<明日に向かって撃て>もさすがに見たことないし。ヒゲのおっさん、キッドと呼ばれていたけれど、このキッドはキッド・カーリーじゃなくて、おそらくザ・サンダンス・キッドの方なんだろうな。となるともう一人の黒髪のにーちゃんは、リーダーのブッチ・キャシディか。おい、キャシディは人を撃たないんじゃなかったのか? めちゃくちゃ撃ち殺しておりますよ?ww

にしても、なるほどなあ。廃棄物の方のメンバーは、土方歳三にジャンヌ・ダルク、そしてロマノフのアナスタシア。土方の後ろには新選組、ジャンヌの後ろには青ひげらしき、アナスタシアの後ろにはサンジェルマンラスプーチンらしき人影が見える。
これって、廃棄物と漂流者の区分けって、死んでから連れてこられたものと、生きてるうちに連れてこられたもので分かれてるんじゃないだろうか。
信長も豊久も、二人共死ぬ前にこの異世界に放り込まれてるし、菅野も撃墜される寸前だったみたいだし、キャシディとキッドも伝承によると生き残っていたらしいしなあ。なにより、ハンニバルとスピキオですよ。二人共もし死んでたんなら、壮年期の姿で出てくるはずでしょうに、それが二人共既に老いぼれた晩年の姿。
まあ、まだ判断は早いだろうが。

しかし、スピキオとハンニバルが組むとか、昇天しそうだよ、もう。日本で例えるなら信玄と謙信が組んだとか言うレベルどころではなく、ゴジラとガメラがタッグを組んだようなもんじゃね? 人類史上最高の指揮官を列挙せよ、と言われたら、まず間違いなく五指のうちにあがってしまう二人だもんなあ。

でも、何よりも燃えたのが、豊久・信長・与一の三人組による国盗りでございますよ。さすがは戦国大名共だ。虐げられていたエルフの村に乗り込み、あっという間に人心を纏めて村を奪ってしまうとは。この言葉が通じないにも関わらず、奴隷として、家畜として虐げられてきたエルフたちに戦う気概を取り戻させるまでの血まみれで凶暴で残虐だけれどズガンと直接魂に殴りかかってくるやりとりが素晴らしいんだ。
この時点でまだ始まったばかり。漂流者と廃棄物たちの世界史オールスター大戦争、なんてそのまんまな展開にはならないぞ、これ絶対。だって、世界の偉人達どもが、そんな安直で唯々諾々と状況に流されるような連中のはずがないもの。だからこそ、偉人と呼ばれるに至ってしまったのだから。速攻、豊久たちは勝手にえらいこと始めてるしww
うああ、これは燃える燃える。正直、自分これ、ヘルシングよりむちゃくちゃ好きだわ。