シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ (角川ビーンズ文庫)

【シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ】 喜多みどり/桐矢隆 角川ビーンズ文庫

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【光炎のウィザード】の喜多みどりさんの新シリーズ。【光炎のウィザード】は最近の少女レーベル系では大好きな作品だったので、これも期待していたのですが……やっぱりというか相変わらずというか、この人の書くキャラクターは一筋縄じゃないかないなあ。
先のヒロインであるリティーヤは天然アーパー系で少女らしい元気の良さには溢れていたんですが、その分女としての色気にはちと欠けた部分があったのですが、逆に今度のヒロイン・コンスタンティンは普段男として振舞っている、しかも夜遊び大好きの遊び人で腕っ節に自信のある暴れん坊、というタイプにも関わらず、ここぞというシーンでは仕草や振る舞いに自然とした女性らしい淡い色気と優しいたおやかさが備わっているんですよね。
最初のがらっぱちな印象はどこへやら、話が進みコンスタンティンの人柄が伝わり、その内面の部分がさらけ出されていくに連れて、その複雑なキャラクター性が綯い交ぜになって不思議な彩りになっていくんですよね。
ヤサグレ者で短気で短慮なところもあるけれど、傷付いた心を今は亡き育ての親である司祭の愛情によって癒され、自分が受け取ったものを他人にも分けたいと思う純粋な善意。これが、コンスタンティンという子を、生意気で気が強いけれど他人のために親身になれて、町の人からも可愛がられている、という少年のキャラクターとして成り立たせているのだけれど、この口うるさいけど気が回り世話好きの少年というキャラと、女の子としてのキャラの境界線が非常に不安定に揺れ動き、焦点をなかなか絞らせない、それが彼女に男の子のような女のような、なんとも不可思議な魅力を付与しているのです。
その上、<黒い羊>という、変身ダークヒーローみたいな事もやってしまっているものだから、コンスタンティンという子のキャラクターは目まぐるしくも鮮やかになってるんですよね。リティーヤもまあ落ち着かないキャラだったけど、コンスタンティンも別の意味で落ち着かないなあ(笑

そんな彼女に付きまとうのは、彼女が生まれたときに見初めて自分のものにしようとする悪魔と、その悪魔を追いかけてきた司祭ユリエル。
愛を知らない悪魔と、普段はへっぽこの癖に悪魔に魅入られたと勘違いして<黒い羊>を追いかけます司祭。司祭は街の教会の助祭と務めるコンスタンティンがその<黒い羊>の正体とも、そもそも女性とも知らず、力の大半を失った悪魔は自分にかまってくれないコンスタンティンを忸怩たる思いで上目に見ながら、彼女の語る愛とは何かにクビを傾げる。そしてコンスタンティンは自分に無理やり結婚を強いた悪魔と離婚するため、善行を積もうと正義の味方<黒い羊>として奮闘するものの、自分をしつこく追いかけまわす司祭に頭を悩ませ逃げまわる日々。まあ、複雑に入り組んだ三角関係である。まだ始まったばかりで、三人ともがスタートラインについたところだけれど、これは面白くなりそうだ。