EX!11 (GA文庫)

【EX! 11】 織田兄第/うき GA文庫

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一連のキャラ改造によってメインヒロインの座を揺るぎないものにしたと思われた由良でしたが、ん? んんん? あれ? この流れだと、もしかして十希子先輩がやっぱりメインになるのか!?
学園祭というイベントを期に、羽月の後押しもあって十希子先輩と一哉の距離は急接近。
既に十希子先輩は自分の想いを伝えてはいたものの、由良があんなコトになってしまった上にゴタゴタ続きで二人の関係はなあなあのままで進んできてしまってたんですよね。十希子先輩が由良に遠慮していたというのも大きな理由。それを、羽月がガンと背中を推してくれたおかげで、こんなに積極的なのは初めてじゃないか、というくらいに十希子先輩がアピールしまくる。それに対して、一哉も曖昧に濁すのではなくデレっとしているのを見ると、こいつも満更じゃなかったんだな。
自分を好きだと言ってくれた相手が、一生懸命自分に構って欲しいとアピールしているのを、困惑ではなく喜びと高揚でもって受け止めるというのは、一哉にもしっかり十希子先輩に恋愛感情を抱いてるって事ですよね。自分、こいつはもうちょっと自分の感情に対して曖昧に濁すのかと思っていたので、わりとハッキリと十希子先輩への感情を明瞭にしたのは驚きました。
一方で、これまで一哉がかかりっきりで面倒を見ていた由良はというと、どうも一哉への依存から自立して、元の人格に戻るとはいかないまでも人間性を徐々に取り戻し、疎遠になってしまっていた親友の恵理子との仲を取り戻し、また敵に洗脳改造されてしまった姉の由真と正面から向きあうという流れになっているんですよね。
十希子先輩が、一哉との関係をどう進展させていくかという完全な恋愛モードになっているのに対して、由良は現状の一哉の庇護下から脱却し、自分を確立していく話へと移行し出している。この流れは、十希子先輩がメインヒロインの座に座ったと見て間違いないんじゃないだろうか。まだまだ予断は許されないが、これまでと違ってストーリーの展開構造に由来する想定なので、かなり揺ぎ無いと思うのだが。

ヒーロー系主人公の悲哀として、なんでも自分の力で解決してしまおうという独善性が見受けられる。結局、どれだけ周りに支えてくれる仲間がいても、最後の最後、追い詰められると彼らを頼らず、背中に回してしまうんですよね。
それを頼もしいという人もいるでしょうけれど、対等として見てくれない事に悔しさを覚える人もいるわけです。増して、この聖クレス学院はエクスターと改造人間たちが手を取り合い、助けあう学び舎。どれほど追い詰められても、一緒に戦ってくれる人、状況を打破する方法を考えてくれる人はいるわけです。たとえ、人質を取られていたって、協力を請う方法はいくらでもあったはず。でも、それには見向きもせず、一人で思いつめ、一人で全部を背負おうというのはやはり傲慢であり、失礼でもある。十希子先輩があれほど怒ったのも無理はないでしょう。
尤も、その愚行の尻拭いをするのもまた、同じヒーローなわけですが。その代償がどれほど大きくても、やはり最大のピンチに颯爽と、悲壮と登場するヒーローはカッコいいや。
ここで最強のエクスターと最強の女幹部という夫婦の共演が見られたら燃えるんだけどなあ。


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