ケモノガリ 2 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 2】 東出祐一郎/品川宏樹  ガガガ文庫

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いやいやいやいや(爆笑
あれはないだろう、あれは!! ものすごくシリアスな場面であり、予想の斜め上どころかまったく想像の埒外にあった展開に見舞われて度肝を抜かれた直後だっただけに、これでどうだと言わんばかりのあの挿絵にはね、もうね、どう反応したらいいものか、完全に頭真っ白になってしまいましたよ(苦笑
あまりと言えばあまりの絵面に、どっかでストッパーが掛かったのか、どうやら自分の中ではあの絵は見なかったことになってしまったらしく、何事もなかったかのようにスルーして最後まで読みきってしまいました。おかげで、素直に感傷に浸れたぜ(ふぅ
あとでもう一度じっくり見直したときは、おもいっきり爆笑してしまいましたが。いや、だってあれはないでしょう!!
当人たちは至って真面目で深刻にこの悪夢めいた状況に対して立ち向かっているのだけれど、変なところでギャグになってる部分があるんだよなあ。メイド服とか、メイド服とか。その発想はまともを装っている分、明らかにおかしいヨ。

僕の名前は赤神楼樹。つい数ヶ月前まで平凡な日本の男子高校生だった僕は、馬鹿げた殺人ゲームに巻き込まれた。友人は死に、先生も死に、それでも僕は生き残った。そして、僕は僕が生きた日常に別れを告げ旅へ出た。世界中で殺人ゲームを愉(たの)しむケモノたちを一人残らず抹殺するために──。僕は赤神楼樹。僕は、ケモノガリだ。リストに刻まれた名前がまた一つ減る。「問題は、次か」リストの名前を見て呟く。コリキア・リンドマン……北欧の小国バレルガニアの終身永世大統領。つまり僕は──今から、一国を相手に戦いを挑まねばならないのだ。
ついに一国の中枢丸ごとを相手取ることになった楼樹。この主人公が凄いというか特異なのは、魔術や異能などの特殊能力や、戦闘技術云々ではなく、単純に、純粋に、人を殺すのが上手い、という部分のみを特化して最大化している点にあるんですよね。そこには力の強弱や技能の上下など一切関係なく意味がない。楼樹って、余程の相手以外は「戦って」ないんですよ、「殺して」いるだけで。彼の場合、「殺した」という結果が先にあって、殺すための殺人行為はオマケにすら思えてくる。
最近だと富士見ファンタジア文庫の【火の国、風の国物語】のアレスなどがリアル一騎当千の無敵キャラとして認知されているけれど、ああいう強さとは一線を画していると思うんですよね、楼樹くんは。原初的な意味での「死神」というのが程良く似合っている。
チートキャラには違いないんだけれど、彼が常に見ている側にとって痛快であり続けるのは、その在り様がもはや呪詛や天災に近い無茶苦茶なものであると同時に、精神性が弓から放たれた矢であり、既に撃ち放たれた銃弾であるがために、一切ブレがないからなのでしょう。と、同時に人間で在り続けようとする努力を惜しまない。惜しんでいないにも関わらず、自分がほとんど人外の存在と化している事に苦悩も後悔もない。故に、見ている方に変なストレスが溜まらない。そして、この人たらんとしている撃ち放たれた銃弾は、同情の余地の一欠片もない極悪人を片っ端からなぎ倒していく。これを痛快と言わずして何を痛快というのか。
今回は最初から楼樹くんが覚醒しているからか、エンタメ作品としては一巻よりも明らかにレベルアップしている。話の展開も、単純な一本道ではなく、二度三度と大どんでん返しが待っていて飽きさせてくれない。実際、この北欧の小国で起こっていた惨劇の真相は予想を遥かに上回るものだったし、その後に待ち受けていた展開はそれまでの驚愕を完全に上塗りしてしまうほど衝撃的だった。もっと単純なアクションモノかと思って、おもいっきりミスリードされてたもんなあ。
今回のヒロインとなるグレタは、一期一会となるだろう逢瀬の相手としては最上級。如何に人たろうとしていても、最愛の人と別れて殺人の権化として異国の地で独りさすらう少年が、果たして人らしい心をどれだけ保っていられるか。そんな中で、彼女との一時を過ごしている時の楼樹くんは、確かに年頃の少年らしい顔をしていたし、彼女の幸福を願い、彼女を守ろうとする少年の心は十分人らしいものだった。大切に思う人が増えれば増えるほど、それは彼にとって良い事のはずだから。
……クールに見えておもいっきり泣き虫とか、完璧です、はい。

個人的には新たにできた旅の道連れに興味津々ですよ。この人はいい具合に引っ掻き回してくれそうだなあ(笑

1巻感想