這いよれ!ニャル子さん 5 (GA文庫)

【這いよれ! ニャル子さん 5】 逢空万太/狐印 GA文庫

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「真尋さん、今日はどこに寄り道しましょうか!」「―このまま、まっすぐ帰るって選択肢はないのか!?」つかの間の平和な時間。真尋たちは放課後青春ライフを満喫していた。がしかし。ニャル子が受け取った一通のメールによって、その静寂は瞬時に破られたのである。「真尋さん、今すぐにここを発ちましょう。私は、我々は、行かなければならないんです」ニャル子の口調は、有無を言わせない勢いがあった。「ど、どこにだよ?」「―セラエノ図書館です」こうして真尋は、遙か宇宙の果てに旅立つことになったのだが―。這いよるハイテンション混沌コメディ待望の第5巻。

正式にアニメ化も決まり、順風満帆なニャル子さんも、五巻目かぁ。最初は一発ネタの勢いだけのコメディかと思ったりもしたけれど、これがどうして巻を重ねるごとに味わいが出てきてるんですよね。高値安定、読んでて安心してくだらないくだらないと笑える安定感には、既に老舗漫才番組の風格すら出てきているかのよう。今後はどうマンネリ感を処理していくかになるんだろうけれど、今の感じだと何巻続いても、同じように面白く続いていきそうなどっしりとした安定感があるんですよね。勢いだけじゃあこうは行かない。

しかし、このニャル子さんの以前の設定をこれでもかとばかりに無かった事にしていく全力っぷりはなんなんだ? 後付け設定と言ってしまえばそれまでなんだけれど、この作品の場合それまでの設定を忘れてるんじゃなくて、明らかに全部把握していながらわざとちゃぶ台をひっくり返していくこの御乱行(爆笑
ここまで絨毯爆撃にこれまでの設定を次々と無かった事にされていくと、普通は設定と食い違う内容があった場合にそれは違うだろう! と指摘してしまうところを、この作品の場合設定におとなしく沿うような形で内容が綴られた場合の方が「……あれ?」と違和感を感じてしまうレベルにまで、そろそろ到達しようとしている感触があるんだが、大丈夫か? 色々な意味でw
ただ、こういうちゃぶ台返しを際限なく出来るのも、それだけ作品の骨格がしっかりしているからなんでしょうね。本当に適当に好き勝手思うがままに設定覆してたら、無茶苦茶になってしまうはずですし。
一旦、ネタとして消費したものを、さらにひっくり返すことでもう一度ネタとして再利用して、次に繋げるための糧とする。これ、何気にギャグコメディの高等技術じゃないでしょうか。
もちろん、ニャル子の畳み掛けるようなネタふりに、鮮やかにツッコミまくる真尋くんの切れ味たっぷりのツッコミ力あっての、皆のボケなのですが。
いい加減、この作品のキャラたちは真尋くんのツッコミに頼りすぎだよなあ(笑
まあ、尽くに見事にツッコミ入れる真尋くんのキャパは、まだまだ余裕がありそうですが。最近は、ただザクザクと切り刻むだけでなく、ツッコミに愛すらこもるようになってきたからなあw
前回あたりから、ひらすら冷たかった真尋くんの態度に軟化の兆しが見え、ニャル子たちを家族として受け入れちゃってるわけですし。傍若無人に見えたニャル子たちも、あれでけっこう真尋くんに気を使う能力がある事も分かってきたわけで、段々と一緒にいる事が自然になってきてしまい、ギスギスしたところがなくなって、見てるこっちもストレス感じ無くなってきたもんなあ。
ニャル子命のくー子も、なんか妙に真尋くんに懐いてきてるしね。最初は、ニャル子しか眼中になく、真尋は邪魔者扱いだったのが懐かしいくらい。刺々しい対応がなくなったからか、クー子への真尋くんの接し方も柔らかくなったし。というか、今回一番真尋くんに愛でられてたのって
クー子じゃないのか、これ。真尋くん狙いだったら美味しいどころの話じゃないぞ。何気に、クー子満更じゃなさそうだったのが、段々と怪しくなってきたぞ。ニャル子狙いと見せかけて、いつの間にか真尋に優しくされることにハマり出している気がする(笑

定番のパロネタは、毎度のことながら一冊に投入する量じゃないよなあ、という大量っぷり。ジャンルから年代から、恐ろしく多岐に渡っているために、ハッキリ言って全部追いかけるのはかなり難しいんじゃないだろうか。最新のネタはもとより、自分みたいな三十代直撃のネタも多いのがそこはかとなく嬉しい。

オチがひどいのも毎回のことなんだが、なんだかんだとかなりいい具合にオチが決まるので、わりとこのシリーズ、ラストのオチの開陳が楽しみなんですよね。ホントくだらないししょうもないんだが、実際のところ異様に凝ってたりするので。
お後がよろしいようで、という感じでえらくスッキリとした気分で終えれるので、読後感が実はかなり気持ちの良い作品でもあるのでした。
いやもう、ほんとーにしょうもないんですけどね(笑

シリーズ感想