煩悩寺 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

【煩悩寺 1】 秋★枝 MFコミックス フラッパーシリーズ

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彼と別れたばかりのOL小沢さん。ある日、飲んだ帰りに訪れた同じマンションの一室は、とんでもない部屋だった。
住人の小山田くんはいたって普通の青年だったが、「煩悩の限りを尽くす」という兄から送られてくるモノで溢れるその部屋は、 統一感なし、センスなし、意図も不明。
しかし何が気に入ったのか、そんな部屋で癒される小沢さんはヒマがあるとその部屋『煩悩寺』に通う日々が始まるのでした。


ああ、沁みるなあ。すっごく沁みる。このまったりとした時間と空間。普段、小沢さんがバリバリと働いているOLさんである事がきっちりと描かれているんで、その分この小山田くんの部屋の癒し空間がもたらしてくれるホッとするような時間、仕事に追われて軋む精神をじんわりと癒してくれる空間の心地良さがじんわりと沁みてくる。
そして、その部屋でいつでも当たり前のように待っていてくれる、自分を受け入れてくれる小山田くんの存在。
仕事で疲弊し、五年も付き合い同棲していた恋人との唐突な失恋に傷ついた心を、徐々に徐々に癒してくれる、暖かく穏やかな隣人との関係。ああ、これは社会人のラブストーリーだなあ。
これ、結構作中の時間が流れるの早いんですよ。気がつくと、もう二年くらい経ってたりして。人にもよるんだろうけれど、学生の恋愛モノのように濃密に忙しなく、今のこの瞬間に最高のものを掴もうとするような恋愛と違って、ゴロゴロだらだらと時間を過ごしながら、いつの間にか人生において掛け替えのないものを見出していくような感じが、実に素晴らしい。
そして、ある一線を超えた途端、恋が形になっていくわけですよ。想いが猛っていくのですよ。
好きという気持ちが止まらなくなっていくのですよ。
ダラダラほわほわとした穏やかな時間と空間はそのままに、小沢さんと小山田くんの間に育まれていく熱量と、寄り添うような距離感の接近。
素晴らしいなあ、素敵だなあ。熱いなあ、熱いなあ。
もう、終盤の小沢さんの可愛さが半端ないんだ。自分の中で募っていく小山田くんを好き、という気持ちにうきうきとしていく様子。小山田くんもまた自分のことを好いていてくれていたと知った時の喜び、それを伝えてくれた時の嬉しさ。一緒にいる時間の楽しさに、新たに加わるドキドキ感。そんな感情の揺れに真っ赤に赤面しながら慌て悩みはしゃぐ小沢さんの百面相が、また可愛いのなんの。もう、ニヤニヤが止まらなかった。
二人の関係が今後どうなっていくのか、これはもう楽しみで仕方ない。ティーンの若々しい恋愛ものも大好きだけど、こういう大人の明るく屈託の無いラブストーリーも、やっぱり好きだなあ。