おれと天使の世界創生3 (HJ文庫)

【おれと天使の世界創世(ユグドラシル) 3】 冬樹忍/魚 HJ文庫

Amazon
 bk1

おいおい、このシリーズなのですがよく見たら全巻、(レベルの高すぎる)主人公の亨くんが優輝の腰にしがみついている、という構図じゃないか。表紙絵からして、最後まで歪みなくよどみのない主人公だったなあ。
もう亨くん無双過ぎて、他をよく覚えていない(笑

だいたいこの最終巻からして、冒頭、亨くんの命を奪うために現れた理香の上司の魔族を瞬殺してしまったわけですよ。いえいえ、別に彼が強いわけじゃありません。本気で何の能力もない一般人です。唯一、相手に触れることで魔力を供給できるという能力を有しているだけで、戦闘能力など欠片もありません。
ところがこの男、現れた上級魔族のなんかややこしい名前の娘をクロちゃん呼ばわりしたあげく、耳かき一本でこの傍若無人にして傲岸不遜な我侭魔族を、まさに一瞬で、一瞬で<調教>せしめてしまったのでありました!
いや、まじで調教です、調教! だって、帯にも書いてあるもん、調教って(笑
耳かきと言葉責めで、完全にクロちゃん陥落。堕ちた。完全に堕ちたよこの娘。
実際、マジで調教である。性的快楽を押し付けて相手の正気を奪い、言葉責めで精神的服従を強制する、あの調教。普段、草食系の大人しい自己主張の少ない主人公を気取っているくせに、スイッチが入るとか性格が切り替わる、とかいうんじゃなく、ごくごくナチュラルに、自然に、流れるように、隙を見ると息をするようにヒロインたちを調教しだすこの男、確か同じレーベルから【鬼畜勇者云々】とかいうシリーズもでてるけど、あんなん生ぬるすぎて笑えてくるほど、本気で鬼畜。亨くんマジ鬼畜。これぞ鬼畜w
この少年の恐ろしいところは、ヒロインたちに対して常時服従を敷いているわけじゃないところなんですよね。あるキーワードをそれぞれに設定し、それを口にするとヒロインのスイッチが入ってしまうのです。お陰さまで、自分でかってにアレモードに入ってしまったり、他のヒロインにスイッチを入れられて弄られたり、と亨くんが何かするでもなく、勝手に調教が進行していくという、恐るべき自己連鎖型調教システム。

タイトルの世界創造、という語句の通り、このシリーズの根底に仕掛けられていたものは、メタ視点をふんだんに利用したかなり大胆な構成で、ここまでの物語が一貫して亨くんの破滅願望によって形作られてきたものだ、というのが明らかになるのですが、自分を否定した世界に対する絶望、翻って自分に対する不信と拒否感、創作によって創造される光りあふれる物語と、現実の自分は決してそんな光に照らされることがない、という諦観。
それら負にして暗黒、絶望にして闇冥たる自分を消してしまいたい、という願望を体現したのがこの世界であり、しかし物語の登場人物に過ぎなかったヒロインの優輝の揺るがない光の指針によって、亨は現実世界にも自分が主人公となる物語を描き出せるのだ、という希望を芽生えさせる、という、スケールの大きいんだか極めているんだかわからないけれど、クライマックスまでの流れを頂点に、全体の構成が見事に整い、勢いを得たかなりの語るべき想いや言葉の力が篭った良作だったんだが……。
亨の調教が絶好調すぎて、彼が世界を肯定した理由が「女の子を躾けるのが楽しかったので、世界も捨てたもんじゃないなと思うようになりました♪」としか思えなくなってしまったんだが、どうしてくれるww

まあ、なんというか……この登場人物たちのレベルの高さは、誰も真似できない領域でした。この得体のしれない楽しさは、癖になっちゃうよなあ。マジでエロものでだしてくれないだろうかw


1巻 2巻感想