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【ランジーン×コード】 大泉貴/しばの茶番 このライトノベルがすごい!文庫

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んー、これは自分にはダメだったなぁ。
描かれている登場人物の感情、想いや決意と言ったものが上滑りして、私の中まで届かなかった。掴もうとしても乾いた砂のように指の間からこぼれおちていく。
取っ掛かりがないんですよね。凹凸のない壁面で、登ろうにも手がかり足がかりとなる抑揚、波となるようなリズムがなくて、滑り落ちてしまう。起承転結の盛り上がり、濃厚な世界観、登場人物たちの想いの変転など、ちゃんと描かれているんだけれど、それをどうしても単なる言葉の羅列としてしか捉えられなかった。
物語としての旋律を、私が聞き取れなかった。
おかげで、読んでいても心がぴくりとも反応しなくって、しんどかったなあ。
そして主人公のロゴ。彼の偽善と逃げ腰と自分の都合のよい現実に耽溺する性向は意図的に構築されているものだということは、後半の展開からも理解できるが、その言動のすべからくが、作者のこうあるべきだ、という規定のもとに基づいていて、そこから一切逸脱する様子が感じられなかったのが、どうにも気に入らなかった。その傾向は、おおむねどのキャラからも感じたのだけれど。結局、どのキャラもが作者の言葉を反復している風にしか見られなかった、ひいては全体が本当の意味においてキャラの差異などない、作者の独り語りによって織りなされるもの、のように感じてしまったんですよね。
一つの物語として異様なまでに完成度の高い作品には、キャラの言動すべてが最初から最後までカッチリと固められた、作者の描いた脚本通り、一切逸脱しない、制御され切ったものであることは儘あることなんだけれど、その場合は作品全体が一つの調和のとれた完全な美しい完成物として構成されているので、むしろキャラの在り方はそうでなければならないのだけれど、これの場合は全然違うからなあ。
結局のところ、趣向や感性の違いなんでしょう。自分には合わなかった、という事に尽きる。読む人によってはまた違った印象になってくるだろうし、何より大賞受賞作ですものね。

ただ、特に前半から中盤に見受けられる説明文のくどさと繰り返しはいただけない。完全に物語を語るにおいて邪魔と停滞の原因となっている。ここでうんざりしてしまうケースは多いんじゃないだろうか。

なんにせよ、自分には合わなかったです。残念。