境界線上のホライゾン3〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 3(下)】 川上稔/さとやす 電撃文庫

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昨今、ライトノベルの表紙というと、時に履いてなかったり、半裸だったり、フェティシズムに踊り狂っていたりと、とんでもないものが結構増えてきているんですよね。
でも私は動じなかった。ニヤニヤしたり、ほほぅとしたり顔で顎に手を当てて頷いてみたりはしたけれど、今まで表紙絵を見ただけで思わず動揺してしまうようなことは無かったと断言していい。

だが、これは駄目だった!!(爆笑

動揺するなという方が無理だろう、これは!! なんかもう、反則を通り越して犯罪じゃないか! 別に何がどうなるというわけでもないのに、どうしようかと慌ててしまったじゃないか。自分が慌ててもどうしようもないのに。
ああ、無意味に謝りたくなる瞬間て、こういう時なんだろうなあ。なんかもう、訳も無くごめんなさいと平伏したくなったよ。勘弁してください、お願いしますって。

作者の川上さんのサイトも相当に遊んでいて、これですよ。見てくださいよ。
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ネイト、こっそりエグレてるじゃねえか!!

ネイトママンのインパクトに圧倒されて、その胸のごとく目立ってないが、密かにネイトのバナーの縦線が抉れてる件についてw
これは酷い、掛け値なしに酷い!(爆笑
しかし、お袋さんがこの怪異で娘がこれというのは、幾ら何でも血のつながりを疑わなきゃいけないレベルじゃないのか、と思いたくなってくるな。しかしネイトがこういう風になってしまうと、それはそれで泣きたくなってくるが。
でも、こうなってくると上半身男性化処理をした正純よりも、ネイトの方がぺったんイメージ強くなっちゃうよね。可哀想に♪

というわけで、今回はネイト覚醒編である。というわけで、というフレーズで本筋に入るのがこの場合異様に酷いことのような気もするが、気にしない気にしない。気にしだすとこの作品、もうどうしようもない有り様になってしまうから。具体的にはSAN値直葬?
そもそも、この三の上中下巻がまとめてネイト編という趣すらあったので、ネイトはメインキャラの中でも優遇されていると言っていいんじゃないだろうか。幼馴染の仲間たちの間でも、ネイトは特に全裸とホライゾンに対して特別な立ち位置にいるわけだし。友情とは別に、忠誠心という要素が彼女には備わっている。全裸とホライゾンへの献身的な姿勢については、他の親友たちとはまた別の趣があるんですよね。お陰さまで、独りだけペットみたいになっちゃってるけど。
忠誠心の塊である誇り高き騎士にして、狼たる彼女が、結論としてじゃあペットね、みたいな事になってしまうのかが不思議であり、さすがだなあと思う次第である。いい具合にイカレている。
でも、この場合、彼女の人狼女王の息女としての覚醒は、武蔵の戦力アップとしては非常に大きいんですよね。実質、仏蘭西の副長である人狼女王の匹敵する武力を、特務の彼女が獲得したというのは、作中でも武蔵の弱点として言及されている個の戦力の少なさを大きく改善してくるわけだし。最近、ほぼ唯一にして最強ユニットだった本多二代がだいぶやられてますしね。蜻蛉切、何回壊れたよ。ホライゾンが西国無双から入手した大罪武装も、全然役に立ってないし。だからといって、ハッキリ言っちゃったらダメですよ、ホライゾンさん。宗茂さんの心が折れちゃう、もう直らないほど折れちゃうから♪
このお姫様は、人の心をポキポキと折るの、好きですよねー。周りは煽るしw

一方で、国際情勢の方はいつの間にか恐ろしいほど急激に大乱世状態に。おいおい、3巻始まった段階では、少なくとも武蔵が英国を訪問していた頃はまだそんなに各国とも派手に動いていなかったのに、織田家が動き出した途端に一気に国際的な緊張状態のバランスが崩れていくことに。特に、この下巻の怒涛の展開には唖然呆然である。さすがは織田家、としか言えないよ。ここは動き出したら、本当に疾風迅雷、いや大津波のように全部を飲み込んでいく。正直、まさかまさか、と思うような展開だった。歴史解釈のやり方が大胆極まるんですよね。コチラが地道に、一つ一つの解釈を細かく操作して、いい結果を積み重ねて行こうとしているのを尻目に、大胆に現状に対して都合のイイ歴史解釈を、年代無視して無理矢理に引っ張り込み、強引に当てはめて有無を言わせず、って感じで。でも、ルール違反ではなく、臨機応変で大胆不敵、敵ながらお見事としか言いようがないスケールなわけです。
その大半を指揮して見せたのが、羽柴秀吉。この織田家ってやつが、武蔵とはまた別の形なんですけど、みんな異様に仲がいいんですよね。特に秀吉の可愛がられ方が半端ないんだ。佐々成政や柴田勝家にアレほど可愛がられている秀吉、というのは見たことないよ。しかも、歴史解釈上、勝家たちは将来秀吉によって滅ぼされる運命を背負っているにも関わらず、滅ぼされる自分たちよりも滅ぼす側の秀吉や利家を心配してるんですよね。仲の良さとは裏腹の悲壮感が、どうも織田家には根づいている。それ故の、覚悟みたいなものが備わっている。戦力的、以上に個々の想いの強さが凄いんだ。他国の人々も、それぞれに強い想いというのは備えているんだけれど、織田家の場合、その方向性が完全に一つに一致してまとまっている。それが、彼らの強さの秘訣のような気がするなあ。

そして、その強さのお陰で、今回はかなりの被害が出てしまった。哀しむことを許されず、もし哀しんでしまえば死を持って報わねばならない誓約を背負ったトーリからしたら、今回ちょっとキワキワだったんじゃないだろうか。哀しんでコロッと逝ってしまってもおかしくなかったぞ。
それでも、辛うじてその結末に転がり落ち無かったのは、リタイアした面々が最後まで生きようとしていたからだろうか。彼らは自らを犠牲にしたわけだけど、四者ともに自分の生きた道を走りきった結果だったんですよね。だから、彼らを振り返ってばかりいて心囚われてしまったら、彼らが報われない。哀しまない、というのも辛い話ですけどね。
でも、特に最後の一人がトーリに投げかけてくれた言葉は、彼を支え続けるものになるんでしょう。彼だけじゃなく、トーリを王とし友とする人たちみんなの支えになるもののはず。

これであのおっさん、普通にイベント来てたら笑うけどな! 全裸の場合、ギャグキャラは爆破ネタじゃ死なないんじゃね? で済むけど。
さすがにあの人、義経については、あんなところでくたばっているはずがないので、その辺は心配してないけど。武田信玄の襲名を終えた以上、自由な立場ではあるけど、またぞろとんでもない名前背負って現れそうな気もするんだよなあ。
教皇総長については言わずもがな。

しかし、ようやくこれで序盤戦終了ですか。まだ序盤ですか。いや、巻的にはまだ三巻終わったところじゃない、と言われればそれまでなんですが……パねえスケールだ。
此処に至ってもまだ姿を見せない織田信長が、織田の各諸将がそれぞれに人物を魅せつけてくれるお陰で、姿を見せないからこそとてつもない存在感を帯びてきた感がある。いったい、どんな人なのだろう、と想像と期待ばかり膨らんでいくもんなあ。
なにせ、織田信長、だもの。そりゃあ、とんでもない人のはず。

作者感想