ストレイト・ジャケット11  ニンゲンのアシタ  THE DEATH BELL 2nd.HALF (富士見ファンタジア文庫 さ 1-1-11 ストレイト・ジャケット 11)

【ストレイト・ジャケット 11.ニンゲンのアシタ THE DEATH BELL 2nd.HALF】 榊一郎/藤城陽 富士見ファンタジア文庫

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突如としてトリスタンに直立する巨大な『柱』の群れ。それは人類社会終焉の為に打ち込まれた巨大な楔だった――。果たしてレイオットとフィリシスは間に合うのか。そしてカペルテータ達の、人々の運命は……?

このシリーズもついに完結かー。榊さんの作品では、すてプリに次いで好きな作品だっただけに感慨深い。なんだかんだと十年の付き合いになるわけですしねー。
しかし、始まった当初からすると望外の良い終わり方を迎えたものである。もっと救いがない終わり方をするものだと思ってたもんなあ。登場人物たちの荒廃したあり方を見てたらねえ。いや、救いがない、というよりも、多くの絶望や破滅のあとに、僅かなりとも救いや希望が残された終わり方、というべきか。
それが、こんなハッピーエンドになるなんてね。特に、フェリシスなんて絶対に自分から破滅して、敵になって笑って死んでいくような結末しか想像できなかったのに、うまいこと転がったものである。あの短編集での一話がなかったら、多分彼女は駄目だったんじゃないだろうか。と思うくらいに、あの何気ない短編エピソードは重要だったように思う。おのれ、アンソニー(笑
それでなくても、レイオットの変わり様には驚いた。いや、急な変貌ではなく、じわじわと事件を経るごとに一つ一つ階段を昇るように変わっていったので、とても説得力があったのだけど。それも、性格が変わるとかそんなんじゃなく、自罰的、自滅的な在り方から周囲の人間に関心を芽生えさせ、他者と自分との関係の円環の中で自らの生きる意志を取り戻していく、という描き方は非常に良かった。
まあ、カペちゃんとくっつくとは思わなかったけどさあ(笑

いささか残念だったのが、ラスボスであるところの<資格者>たちが看板倒れだったところかなあ。ちょっと簡単にやられすぎてたかも。あれだと、普段出てくるような魔族たちの方が敵としてはやっかいだったように思う。なまじ、人間に近しい姿と思考をしているお陰で、完全に本能の、しかも人間の理解の埒外にある本能に任せた動きしか出来ない魔族よりも、対処がやりやすくなってたんだろうなあ。

なんにせよ、長いシリーズ、お疲れ様でした。