なれる!SE 2 (電撃文庫 な 12-7)

【なれる!SE 2.基礎から学ぶ?運用構築】 夏海公司/Ixy 電撃文庫

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話題の萌えるSE残酷物語、待望の続編登場!

 システム開発会社に入社し怒涛の4月を乗り切った桜坂工兵。彼が出会った同僚の姪乃浜梢は、小動物系でちょっと天然な気もあるかわいい女子だった。
 しかし、システム運用担当の梢は、そのシステムを構築する工兵の見た目子供の鬼上司、室見立華と犬猿の仲で──。
 とあるモバイルゲームインフラを舞台に、工兵を板挟みにしつつ構築と運用の熾烈な戦いの幕が上がる!
 システムエンジニアの過酷な実態をコミカルに描くスラップスティック・ストーリー、第2弾!

 使えるとわかった途端、とんでも無い仕事振りやがるな、この藤崎さんは。OS部とSE部間の軋轢を解消するための旗振り役をやれて、それまだ入って半年にもなってない新人に任せる仕事ですか。しかも、失敗すると会社傾きかねないって、どんだけプレッシャーなんだか。
でも、無茶振りじゃないんですよね。ちゃんと工兵の対人交渉能力と特性を鑑み、梢や立華との現状での人間関係を考慮に入れた上で、彼なら調整が出来ると思ったからこそ、彼に任せたんだろうし。自分でやれれば、やる人なんだろうけどね。でも、室見の上司でSE部の管理職という立場はそれだけで、OS部との橋渡し役をするには難があったんだろうし。時間があれば、上役同士で手打ちして歩み寄り、みたいな着実な着地点もあったんだろうけど……この会社、そういう余裕なさそうだしなあ。というか、今まで出来てない時点で無理か。
まあ、でもこれもこじんまりとした会社だからこそ出来た人材活用なんでしょうけどね。社長の営業トークの、小さい会社だからこそのフットワークの軽さ、というのはあながち間違っていないような気がする。少なくとも、藤崎さんはその利点を遺憾なく利用しているようだし。その御陰で無茶振りの仕事を社長から投げ渡されてるのだから、ある意味悪循環な気もするけどw
無理したら出来るから、って無理し続けたら、際限なくハードル上げていくんですよね、この社長みたいな人種は。

しかしやはり面白い。仕事ものとしてはスポットの当てるところが絶妙なんですよね。システムエンジニアという職種に限らない、業務を行う上で共通の大事な要素が今回の話には詰まっている。
梢の自分の過去の失敗に基づくこだわりなんて、ほんとに大事なことですよ。出来る人に合わせてシステムを特化していくと、いざってとき、絶対に破綻するんだから。もしもに備えてフォロー出来る態勢を常に構築しておくというのは、大前提の安全保障なんですよ。
でも、案外これって気がつかなかったり後回しにしちゃったりするんですよね。何しろ、現段階では上手く回ってるんだから。それを、なぜ効率落としたり、レベル下げるような真似をしてまで余計なことをしなくちゃならないんだ、という意識はどうしても生まれちゃうわけです。
自分独りのことだったり、家族や身内のことならまだ判断も決断も出来るのだけれど、これが組織のこととなると身動きが取りづらくなってしまう。
先を見るって、言うは易くてもやっぱり疎かにしちゃいガチになってしまうものなんだよなあ、としみじみつぶやいてみたり。

でも、この会社の人達はやっぱり大したもんですよ、ブラック会社じゃないよなあ。自分の仕事に真摯であり続ける、というのは大事ですもんね、うん。いやね、ほんとに会社の事とか考えずに、好悪の感情だけで無茶苦茶する人っているもんなあ。

ちなみに梢は、これは地雷だな(笑
距離の詰め方がヤバすぎる。ストーカーの資質たっぷりですよ。プライベートでは絶対回避すべき人材だw これならまだ立華の方が日常生活者としては破綻してても、付き合える人間としてはまともに思えてしまうゾ

1巻感想