ケルベロス 3 (少年チャンピオン・コミックス)

【ケルベロス 3】 フクイタクミ 少年チャンピオン・コミックス

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泣きそう、というかもう泣く。泣いてしまう。
なんなんだろう、この主人公は。景という男は。ただ真っ直ぐなのとは違う、ただ熱いだけじゃない。狗骸と墓守に課せられた呪われた関係を知らされながら、おまえたちの信頼関係は偽りなのだと指摘されながら、景は一片たりとも揺らがない。仇喰の言う事を信じようとしないわけじゃない、なにより彼の指摘は真実なのだ。だが、揺るがない。墓守は呪われてると言われながら、狗骸・雪房に対して疑念を抱かない。いや、疑いだとか呪いだとか、そんな事は彼にはどうでもよかったのだ。彼にあるのは、困ったとき、幼なじみが危険に晒された時、何も出来なかった自分に、弱くて守りたい者を守る力を持たなかった自分に、雪房は力をくれた、守ることをできるようにしてくれた。それだけで景にとっては十分で、景は真実を告げなかった雪房に感謝するのだ。ありがとうと、助けてくれてありがとう、会えてよかった、居てくれてありがとう、と。
感謝するんですよ。
それを聞いた雪房がね、もう泣きそうなんだわ。嘘を付いたのに。騙して、逃げた崩を捕まえる役目を押し付けたのに、この少年は自分に感謝してくれるんですよ。ありがとうって、居てくれてよかったって言ってくれるんですよ。そりゃあ泣くよ、泣いちゃうよ。
感極まって、どうしようもなくて、だから爆発しそうな感情は、ただ一点に収束する。
礼を言うのは 私の方だ。
私が景を!! 負けさせぬ!!
人間と異形が手を組んで怪異と立ち向かう物語は数多くあるが、こんなにも人間と異形双方がお互いを信頼し、いや信頼なんてもんじゃない、ありがとうという感謝の気持ちによってかけがえのない存在として絆を結んだ関係を私は知らない。本当に知らない。こんな一人と一匹を私は知らない。
やばい、思い出しても泣けてきた。

墓守に課せられた運命は過酷だ。修行の第三段階で示されるものは、墓守の真実。墓守の末路。墓守となったものには、もはや安らかな死は皆無なのだという運命。
それを知り、自分の決定された末路を知り、そしてなお、景は雪房に何でもないように告げるのだ。
お前のおかげでできてることに比べたら、全然何てことねえよ 気にすんな
感謝によって深く深く結びついた一人と一匹の戦いの物語。三巻にして断言する、これは傑作だ。

しかし、今回なにより衝撃だったのは、世々さんが1,2歳年上の高校の先輩どころか、大学生どころか二十代どころか、32歳だったという真実!!
さんじゅーーにさい!? おい、三十路超えてるのに、幾ら何でも大人気なさすぎるだろう、お姉さん! ……やっぱり、独身なのか?