漂う書庫のヴェルテ・テラ4 (富士見ファンタジア文庫)

【漂う書庫のヴェルテ・テラ 4】 川口士/雛祭桃子 富士見ファンタジア文庫

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聖堂から追われる身となったジグウォルと「万巻の書」レジィナは、“断罪”の星導師と名乗り、焚書の現場を襲いながら新たな「五賢七書」の情報を集めていた。一方【聖堂】はついにジグウォルの抹殺を決定し――!?


おおっと!? これはまた巡りが良いというか、タイミングが良かったというべきか。先のシグウォルの枢機卿襲撃事件での顛末から、聖堂の幼馴染たちとの仲はもっと拗れてヒドイことになると思っていたのだけれど、リシェルは結局何が起ころうとシグウォルへの信頼は揺るがず、タルドールも風聞に惑わされるタマではなく、何だかんだと幼馴染の絆は揺るがず、兄を殺したと誤解しているサリナが思い込みも激しくて一番厄介だったのだけれど、幸いなのか偶然とタイミングが合致してしまい、シグウォルが隠していたオルトの死の真相が明らかになることで誤解も解けてしまったわけで、人間関係がひどいことになる前に和解出来たのは、まあよかったんだろうなあ。
聖堂側も、どうも組織の暗黒面が無茶をやらかし始めたことで亀裂が生じ始め、歴史の闇に葬り去られた神の真実が明らかになりはじめたのと相俟って、どうやら以前からシグが切望していた聖堂の良い面と悪い面が乖離してきたみたいで、段々と落しどころが見え始めてきた。
しかしなるほど、聖堂がこれほど躍起になって焚書に勤しんでいたのは、単に聖堂に都合の悪い情報を封殺する為ではなくて、歴史の改竄と神の真実を闇に葬り去ろうとしていたからなのか。幾ら何でも偏執的なほど徹底しすぎているな、とは思っていたんだがこの真実が明らかになった時、聖堂の権威が失墜するどころの話じゃなく聖堂そのものが組織として成り立たなくなる可能性すらあるとするなら、どれほど乱暴で汚い手を使ってでも真実を消し去ろうとするのもあながち暴挙とは言えないか。どうやら聖堂が成立した当初からの方針だったようだし。

にしても、だ。聖堂が強硬手段に出だしたことで、それまで立場上身動きが取れなかった聖堂騎士のリシェルや、プルガトリア女王アンジェリナが一時的にとはいえフリーハンドを手に入れてしまったというのは、物語上は緊迫した情勢にも関わらず、シグの女性関係として見ると突然彼のハーレム環境が整いだしたような感じになりだしているんだがw
誤解の解けたサリナも、なんかシグにべったりになってるし。あれあれあれ? と思っているうちになんでかシグの所に彼に想いを寄せる女性陣が集結していく流れになってますよ?(笑
お陰でなのか知らないけど、本来の彼の相棒であるところの「万巻の書」レジィナの存在感が偉いことになってしまっているような。さり気無くシグの行く末とか気遣って、デルミッシュ師匠を問い詰めたりとかわいい行動をしているにも関わらず。
このままだと、次回以降合流してきそうなアンジェリナ女王やリシェルに全部持ってかれかねないぞ。いや、自分はリシェル派なのでそれはそれでいいのですが。

まあ最終的に一番美味しいころはタルドゥールが掻っ攫っていきそうな雰囲気ですけど。

川口士作品感想