おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その2 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 2】 葉村哲/

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荒谷学園第三旧校舎、古い木造校舎の一階にある部室。白崎宗司と森塚一乃、そして沢村キリカ。三人きりのゲーム同好会では今日も元気に(ゲームしないで)お喋りとか宗司いじめとか宗司を巡る異能バトルが繰り返されている。宗司の妹・双子のリリスも加わった今、戦況は混乱するばかり――。そんな中、沢村キリカの誕生日が近づき、昔から仲の良かった宗司とキリカは「17歳の誕生日までにしたいことリスト」を片手に宗司とデート(?)に出かける。大ヒット御礼、葉村哲が贈る、新感覚ラブコメディ(な気がする!)第二弾登場!

うわぁ………(絶句

やっぱり、葉村哲は葉村哲だったということかー。いやあ、このラブコメな日常が崩れ去る事はない以上、一巻でちと書いたように異能がもたらす要素はあくまでエッセンスに留まっているのだろうけれど……代わり映えしない日常が送られる根底に、こんな真実が寄り添っているというのは想像を絶するなあ。
これ、異能を持った人間たちの繰り広げる駄弁り系日常ラブコメというフレーズなんだけど、この作品の特別なところは登場人物が異能を持っているにも関わらず、その異能力を無駄遣いしながら日常を過ごしていく所にあるのだと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
異能を持っている、というのは関係ないのだ。注視するべきは、宗司をはじめとした登場人物の精神面での異常性なのだ。最後まで読んでもらうと理解できると思うが、キリカの秘密を知ってしまった今となると、あの真実を抱えたまま生きているキリカと、それを知った上で全部受け入れている宗司が、平然と日常を楽しそうに過ごしている事自体が異常極まりないんですよね。普通なら耐えられないし、まず破綻してしまうはず。それを微塵も感じさせずに何でもない日常を過ごしているということがどれだけおかしい話か。
まだその過去が明らかになっていない一乃や、どう見ても存在自体が狂っている白崎リリカ×2など、未だ掘り下げが行われていない他のヒロインにしても、どうせキリカの例からしてもろくでもない真実を抱えているのはまず間違いないはず。
となると、この作品って他愛ないキャッキャウフフのラブコメな日常を描きながら、そうした日常が送られていること自体が異常で異端でイカレている、という凄まじい有り様になっているという事になる。それってまるで、絶望めいた救いで、地獄みたいな楽園だ。
改めて見なおしてみても、宗司という主人公は想像を絶する。この青年は、一体どういう在り方を以て自らを保っているのだろう。キリカと知り合って以来、もう何年も経っているはずなのに、どうしてこの男は表面上だけだろうと平静でいられるんだろう。キリカと、あんな気楽に付き合えるんだろう。普通の仲の良い女の子のように付き合えるんだろう。一緒に笑えるんだろう。
想像を絶する。信じられない。
いや、だからこそか。こういう男でなければ、キリカや一乃のような絶望を抱えた少女を受け入れ切れず、そんな男だからこそ彼女たちもまた一途に想いを寄せるしか無いのだろう。それこそ、全身全霊を賭けて。口では茶化した風を装いながらも、その実彼女らの露骨な誘惑する言動はいつだって本気で、身も心も宗司に捧げきっているのだ。
彼女らの愛は、常に献身である。

と、いう風に書いているととても重たい話に見えてしまうかもしれないが、基本的には現在続いているシリーズ作品の中では五指に入るであろうイチャラブコメディだ。
なまじ宗司が鈍いを通り越して完全スルーに徹しているものだから、自他共に認める地雷女の一乃とキリカはツンする暇もなく競い合うように宗司へのデレをエスカレートさせていく。宗司が完全に木石ではなく、二人に恋愛感情を抱いていないというだけで二人の可愛さやアピールにわりと年頃の男の子らしくグラグラと理性をぐらつかせ、はっきりと口に出して可愛い可愛いと褒めたりもするので、嬉し恥ずかしな小っ恥ずかしい甘酸っぱい雰囲気にもよくなりますしね。好きな男の子にそんな可愛い反応をされたら、そりゃあ鼻息荒くしてやること為すこと過激化していくのも仕方ありません(無いのか?)
しょっちゅうガチで殴り合ってる影響か、段々と一乃とキリカの中も複雑怪奇に良くなってきている感じですし……良くなってるのかなあ? 本当に抜け駆けされたら、ガチで殺し合いになりそうな緊張感もエッセンス(笑

にしてもだ、一乃にしてもキリカにしても、ヤバいくらいに可愛い。もうメロメロである。その発射しまくりな「襲って♪襲って♪光線」はいい加減凶器だw
君ら、本気でソージ君好きなんだねえ(笑

葉村哲作品感想