CAPTAINアリス(3) (イブニングKC)

【CAPTAINアリス 3】 高田裕三 イブニングKC

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パイロットに他人の操縦を信用しろ、というのは実は結構難しい注文なのかもしれない。自分が操縦桿を握れない飛行機に乗るのはイヤだ、という操縦士の逸話はよく聞く話ですしね。
普通のパイロットでもそういう傾向はあるというのに、独断専行上等で自分の危急時のセンスティブには絶対の自信と享楽をいだいているアリスには到底無理な話だと思ったんだけれどなあ……この娘の琴線というのは、単に自分の力で危機を脱する事、ではないようだ。いや、荒れ狂う状況を支配しコントロールし、捩じ伏せる事それ自体が楽しいのか。
何にせよ、アリスがイッちゃった後のテンションの盛り上がりは素晴らしい。結局のところ、この作品が一番盛り上がるのって、アリスが暴走することじゃないんですよね。アリスの暴走紛いの大技に、他のベテランパイロット、金蚕さんや今回ならば円旗さんのような神がかりな腕前を持つパイロットが同調して一緒になってノリ、周囲の驚愕をBGMに華麗なコンビネーションでランディングを決める所にあるのでしょう。そう、独りでやるなら暴走なんですよ。それじゃあ詰らない。見識持つ誰かがそれを認め、力をあわせるからこそ面白い!
今回は特に、アリスを否定していた円旗さんと、円旗さんの操縦スタイルに不満をいだいていたアリスの、反発しあっていた二人が土壇場でお互いの凄まじさを認め合ってのコンビネーションだっただけに、余計に盛り上がった感があります。
あの着陸、見ました? 滑走路の進行方向に対して、期待がほぼ四十五度にずれている、という1コマを見ただけで、どれほど神がかりな着陸だったか、容易に分かりますよ。普通のコンディションでも難しい、というより横風34ノットって着陸許可が絶対降りない領域でしょう。それを、前輪故障で中途半端に出たまま収納できずの胴体着陸。パイロットの円旗さんは視力をなくした目隠し操縦。右肩を脱臼して操縦できないアリスが眼の代わりになって口頭指示、という無茶に無理を重ねて無謀を相乗したような、それぞれ一つのトラブルだけで1エピソード作れそうなのを重ねがけした最難度ミッション。それなのに、アリスも円旗さんもやたら楽しそうなんだもんなあ。そりゃあ、テンションあがるって(笑

さすがに、ハイジャックについては成功させずにして、これはよかったと思う。あれで法を覆してしまうことは、たとえどんな情理があったとしても例外は許してはいけないものですもんね。でも冷徹に徹してしまうのも情のない話。だとすれば、落しどころとしてはこのあたりでちょうど良かったのではないかと。さすがに、ハイジャック不問は無いと思うけどw
ハイジャックと関係なかった前輪トラブルに伴なう大事故にかこつけて、ということなんでしょうけど。

シリーズ感想