二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)

【二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない】 朝田雅康/庭 スーパーダッシュ文庫

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第9回SD小説新人賞佳作受賞作!
35人の氏名を特定せよ!
パズル感覚 学園青春小説登場!!

問題児ばかりで構成されたクラス、それが私立伯東高校二年四組だ。
クラスのボスである委員長は強権を発動し「皆の心をひとつにする」ために交換日記を開始する。
日記は誰が書いているのかもわからないようにされ、
登場するクラスメイトも属性に基づく異名やその所属する派閥で表現される。
日記では予想外の事件や秘めたる恋が描かれて…?
第9回SD小説新人賞佳作受賞作、
パズル感覚で読み明かされる、学園青春小説が登場です!!
なるほど、これは確かに面白い手法だった。読んでいる最中に、あだ名の人物と該当する名前をパズルのように当てはめる作業に思わず勤しんでしまいましたし。
でも別にミスリードなど誤解を生じさせそうな誘導もなく、難易度としては普通に読んでいけば分かる範囲なのがちょっと不満といえば不満だったと言える。想像力を働かせる余地が殆どなかったもんなあ。なのでパズルとしてはいささか物足りなかった。
あだ名と顔を先に提示しておいて本名を当てる方式ではなく、逆にあだ名を当てる方式のほうが考えを巡らせる幅が出来て面白かったようにも思うけど、あだ名だと姿形で予想がついてしまうケースが多いから成り立たないのか。
でも、あだ名と姿形のギャップなどをミスリードの材料にしたら、もっと翻弄出来ただろうに。うん、ミスリードで翻弄というとせっかく名前とあだ名を読者側で摺りあわせなければならない錯綜した前提なんだから、物語の展開もそれを利用した叙述トリックなどの、読み手をしっちゃかめっちゃかに引き回す作りがあったらなあ、と勿体無い感じがしてしまった。なるほど、この方式ってちょっと考えるだけでそれだけ色々と出来る可能性があるって事になるのか。
とはいえ、この一作で概ね名前とあだ名のすり合わせは完了してしまっているので、続きが出ても上であげたようなやり方は出来ないだろうけど。それとも、発想を変えてまた面白い方式をひねり出してくれるのかしら。

それはそれとして、クラスメイトだけで35人もの人間が出るだけに、通常ならキャラクターの把握にもっと手間取るものなんだろうけれど、このパズル形式のお陰で誰が誰か区別がつかない、という事がなく自然にそれぞれのキャラが浸透してきたのには、上手いなあと感心させられた。とはいえ、その分掘り下げもそんなにないんですけどね。全員にそれなりの出番を与えるということはそれだけ集中して登場する場面も削られる上に、心理描写なども限定的になってしまいますしね。もっと絞り込んで見せてくれたら面白そうな人材や人間関係も散在していただけに、シリーズ化されるのならその辺スポット当てて見せてほしいなあ、と思ったんだけれど次回以降もこんな形で描写されるのなら難しいのか。はてさて。
とりあえず、副委員長は死んだ方がいいな(キリッ
みんな、本当にお嬢の事を思うんだったら、あれと付き合うのは阻止すべきだと思うんだけどなあ。カップケーキの一件など、完全に人でなしの所業だぞ、あれ。