俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈7〉 ((電撃文庫))

【俺の妹がこんなに可愛いわけがない 7】 伏見つかさ/かんざきひろ 電撃文庫

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……すげえわ、これ。ここぞという最高のタイミングでスペードのエースを切ってきやがった。

どうしよう。どうするんだ、これ?

うむむむむ。参ったな、これは。本気で驚いた。桐乃って、そこまで切羽詰ってたのか? 思えば海外留学から帰ってきてしまった頃から、ちょっと歯止めを失っていたというか、初期の頃と比べてもその反応の仕方が随分とあからさまになってて、それこそ本当に押し殺して見せまいとしていたものが、気づかれても構わない、むしろ気づいてしまって欲しい、と思ってでもいるかのようだったんですよね。
そうかー。本気で余裕なくなってきてたんだな。今まで程度じゃ我慢できなくなってしまうほどに、想い、膨らんできちゃってたんだ。
うわぁ、ちょっと泣けてきたぞ。桐乃が抱え込んでた想いの重さと切なさを思うと、ねえ。
思えば、あのデートだって変だったもんなあ。桐乃は必死に見られる、監視されていると強調していたけれど、京介はまったくそれらしい相手を見ていないんですよね。
明らかにアレ、偽装デートを偽装したデートじゃないか。そこまでしちゃうほどに、気持ちを持て余していたと思うと、ねえ。しかし、だからと言って京介に気づいてやれよ、というのも違うんだよなあ。気づいたら気づいたで、桐乃にとってそれが良い事か、というとそうでもないんですよね。京介も随分と染まってきたというか壊れてきているけれど、妹が自分を本気で好いていると知ったとして、俺も好きだったんだよ、となるかというと……。この兄ちゃんの性格からして、むしろきっちり一線を引いてしまう可能性の方が高く感じるんだよなあ。桐乃も本能的にか論理的にかわからないけれど、自分の本当の気持ちを言ってしまってはいけない、と感じている節がある。カレシになってくれ、と頼んだときに、京介がドン引き気味に自分のことがマジで好きなのか、と問いかけたとき桐乃が蒼白になったの、あれ京介がドン引き気味だった、ということよりも自分の本当の気持ちが知られてしまう事への恐怖の方が強かったような気がするんですよね。
いや、クライマックスでのあの桐乃のセリフを考えると、京介の態度こそが問題だったのか。……いやいやいや、ちょっと待て。もしかしてあれってマジだったんじゃないだろうな? いや、マジではないか。でも、スカウトへの言い訳として彼氏役が必要だったとしても、あのモジモジした様子はちょっとおかしい。桐乃の態度としておかしい。偽装を頼む、という理由にかこつけて、兄貴に告白した、というシチュエーションに浸っていた、ってところか。
それが、京介のドン引きの態度を見て冷静さを取り戻し、同時に傷ついて、絶対に気持ちを知られちゃいけないという想いと、どうにか伝わって欲しいという気持ちがぶつかり合って、この巻での些かリミッターが外れた状態になっちゃってたって事なのかしら、想像をめぐらしてみると。
で、止めがあの兄貴と黒猫の会話聞いちゃったところか。
そりゃ、冷静じゃ居られないよなあ。

そんでね。
桐乃が兄貴のことを好きなんだという事実、薄々は気づいている人はそれなり、人数居ると思うんですが、桐乃の本気を本当に理解しているのって、考えてみると黒猫だけなんですよね。
黒猫だけが、桐乃の想いを全部分かってくれている理解者なんですよ。それを桐乃が以前から分かっていたかは分からないけど、少なくともあの打ち上げでの黒猫の激怒でわかったはず。


そこで意味深になってくるのが、件の桐乃との激突のあと、桐乃と黒猫が随分と長く電話をしていた、という描写なのである。そして、電話のあと桐乃がさっぱりとした顔をしていた、という点。
そして、その後のあの黒猫の行動。
まず間違いなく、確信に近いものがある。桐乃はまず間違いなく、黒猫のあの行動を承知している。了解している。黒猫の性格と、今の桐乃と黒猫の仲、そして黒猫が桐乃の気持ちを知っている事から鑑みると、まず京介に告げる前に桐乃に自分の気持ちと今後の行動について宣告するに違いない。
と、断言してしまおう。
以前に黒猫、同じことを桐乃不在の時にしようとしてたじゃないか、という向きもあるかもしれないが、状況や人間関係も変わってきてるからなあ。

正直、この後の展開が予想できないんですけどね。あの最後の一文が文字通りのものかどうかから、まだ確認しないと安心できないし。自分は、あの組み合わせが一番いいとは思うんですけどね、地味子には悪いが。ここで有耶無耶にされたら、いくらなんでも黒猫がかわいそうすぎるし。
それに、黒猫なら桐乃の気持ち、否定しないと思うんですよね。独り占めして盗らないと思うんですよ。ちゃんと、尊重してくれる気がする。取り合いにはなるだろうけどw でも、取り合い、という行為を享受してくれると思うんだ。
今回は桐乃が歯止めを失って右往左往している部分が大きかっただけに、黒猫が随分と助けになってくれてた気がする。それこそ、彼女がメインヒロイン並みだった5巻レベルで。その上、要所要所でこれも五巻並みにヒロインアピールしてたもんなあ。
ちょうどアニメで白いノースリーブ姿を見せてくれてただけによくわかる。黒猫、白が似合うって。

しかし、肝心の兄貴だが……どんどん壊れてきたなあ(笑
兄ちゃん、おもしろすぎるんですけど? 特にあやせ相手の時の壊れっぷりはなんなの、あれw 明らかに変なスイッチはいってるんですが。然して、なんでまたPSPのゲームのシナリオ、原作者が手がけてるのがあやせシナリオなワケですか? な、なんか本編で書けない分、あやせの話書きたい書きたい、という本音が透けて見えてくるような……原作者シナリオにも関わらず一番壊れた話しになりそうな予感がw 
親父のあの有り様をみると、実は似たもの親子だったのか、と思ってしまうけど。親父さん、今回相当読者の株あがったんじゃないのか。息子と愚痴り合った上にワガママ言いまくる親父さんが可愛いの何の……鬱陶しいわ!(苦笑


まあ、なんとも物凄い展開だった。一章の偽装デート、二章のあやせ家侵入編。三章の夏コミ参加編、とそれまでも十分面白い流れだったのに、なんかもう全部最後の二連撃に持っていかれてしまった。惜しげもなく叩きつけてきたものである。しばらくは放心状態だ。

ところで、各所で持ち上がってきている兄弟間の問題だけど……何気に一番ヤバいというか、一線を超えてしまいそうなのって、高坂家でも赤城家でもなく、あの真壁家なんじゃないだろうかw いやね、むしろシスコン過ぎたりブラコン過ぎない方が危ないんですよって!(笑

伏見つかさ作品感想