藍坂素敵な症候群〈3〉 (電撃文庫)

【藍坂素敵な症候群 3】 水瀬葉月/東条さかな 電撃文庫

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水瀬葉月が贈るフェチ系美少女学園ストーリー、感動の完結編!

 風邪をひいた空のお見舞いイベントで起こったハプニングにより、空の奴隷にされてしまった浩介。肩をもまされたり、オセロをやったり、さらには荷物持ちとして休日に二人で買い物に行くことになるが、当然そんなことを看過できる素敵たちではないわけで!?
 そんな折、医術部の面々は街で素敵のように白衣を着てメスを振りかざす女と遭遇する。彼女はかつてなく最悪な“耽溺症候群(フィリア・シンドローム)”に罹患していた。素敵は自らの《世界と乖離していく》疾患を押しての対決を覚悟するが!?

なんと、もうこれで完結だったのかー! どうも最初からこのくらいで締めるつもりだったようなのですが、設定的にも面白いし二桁とは言わないまでも、この倍、6巻くらいは続き読みたかったなあ。
所謂ラスボス的な存在は出てきたものの、インパクトというか理解の及ばない得体のしれなさ、気持ち悪さ、には些か欠けてた気がする。設定的にはまさにラスボスとしてはこれ以上ない、という力の持ち主だったんですけどね。これまでの耽溺症候群の罹患者たちが、理屈を超えた生理的に嫌悪感を催す破綻者たちだったのに比べて、この人は欲望がロジカルに統制されてましたからねえ。
でも、物語の主体は逢坂素敵の在り方と、それを見守る浩介との関係性であり、彼を取り巻く女性たちとの緊張感ある恋愛模様、でしたからね。その意味ではブレなかったんではないかと。
今回については、まさかの修羅場があったからなあw
空さんがついに本気を出しましたよ?
熱に浮かされ寝ぼけて抱きつくまでは想像の範囲内でしたけど、その後が凄かった。まさか、正気に戻ったあとになお、止まらないことを選ぶとは!
空さん、めちゃくちゃエロいです!!
そう、もう彼女この時点で完全に振り切っちゃってるんですよね。逡巡とか、迷いとか、自分の気持への歯止めとか。だからこそ勿体無い。浩介のことを欲しいと望んだのに、最後の最後で普段の空の顔を繕ってしまったのが。
確かにもう手遅れだったかもしれないけれど、でもまだあの段階では決定的ではなかったはず。その前に、自分にだけじゃなく浩介にも素直になって致命的な楔を打ち込んでおけば、はたしてあの場面で浩介は空を置いて行っただろうか。空との約束を反故にしただろうか……いや、でもやっぱり遅かったんだろうな。多分、無理だったんだろうなあ。
自分の心に素直になって、我慢せず思ったように振る舞い、浩介に接する空が無茶苦茶幸せそうだっただけに、あのシーンはかなりキツかった。でも、浩介は責められないんですよね。仕方ないんだ。こいつは、選んだんだから。
あー、でも選ばれないって。フラれてしまうって、辛いなあ。だから、あの場面で責められるべき相手がいるとしたら、舞台に上がってこようとしなかった素敵の方なんですよね。
空からすりゃ、納得いかないわ。本来なら、あとからでも決着つけなきゃいけなかったんだろうけれど、丁度最後の事件が重なって素敵が不在になってしまったために、空としたら不貞腐れるしかなかったんだろう。勝負の舞台にもあがっていないのに、自分のモノだったはずの浩介を持ってかれてしまったのに、素直にその敵を助ける気にならんのは良く分かる。不貞腐れるしかないじゃない。
でも、素敵を責めすぎるのも過酷だよな、この場合。彼女にも、空が踏み出し浩介との関係に一石を投じる、という人間関係の激動が巻き起こる中で、ゆっくりと自分の気持を吟味する時間と余裕があったなら、また話も違ってきたのだろうけど。
兎に角、タイミングが悪かったとしか言いようがない。
……伊万里が隅っこでハブにされて指くわえてるしかなかったのはかわいそうだったけど(苦笑
彼女にももう少しアピールできる機会があればよかったんだが。空と素敵が全部持ってっちゃったからなあ。せっかくの能力も、あまり活躍の場がなかったし、かわいそうに。

と、壮絶な修羅場が繰り広げられる中で、浩介、こいつは戸惑いながらも皆に惚れられるだけある一本筋の通った意気を最後まで貫いてくれて、カッコよかったぜぇ。誰も一人にせず、取り残さず、痛みを共有し、支えとなり、助けとなり、絆となって皆を守る。他の部員と違って彼には最後まで戦うための能力はなかったけれど、素敵を守り、皆を守りぬいたのは間違いなく浩介でした。イイ男だよ、ほんと。
惚れた女の為ならば〜〜♪
うん、これぞ素敵な物語、でございましたっと。

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