聖剣の刀鍛冶10 (MF文庫 J み 1-18)

【聖剣の刀鍛冶 10.Trial】 三浦勇雄/屡那(MF文庫J)

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セシリーを守るために最後の変化の呪文で剣の姿のままとなったアリアを胸に、独立交易都市へと戻ったセシリー。しかし彼女を待っていたのは、ルークとユーインの消息が絶たれたという悲報だった。件のルークとユーインは、突如襲った地震によって閉じこめられたヴァルバニルの封印される洞窟内でその末端らしき触手との攻防を繰り広げていた。他の出口を探して灼熱の闇の中を彷徨い続けるルークたち。そしてその奥底で地面に突き立てられた直刀を見つけるのだが ――!? 壮大なファンタジー叙事、薄闇の底で真紅に燃える刀身を打つが如き“鍛錬の刻”!!
先の巻の感想の締めに、『そろそろ絶望の向こう側に希望が見えて来て欲しいところだ』と書いたんですけどね……どうなんだろう、これ。希望が見えたのか? それとも、さらなる絶望でしかなかったのか?
表紙の全裸については、私も思わずエントリーして書いちゃったんだけれど、本編の中にはもっと凄い構図のイラストがありましたよ。
尻!
しかし、まったく、浮ついたシーンじゃなかった、どころかこれほど哀切に満ちた尻があっただろうか。哀切に満ちた尻ってなんだよ、と思うかも知れないが、見たらわかる。こんな悲痛そうな尻はないよ。むしろ、本当なら固く握りこんでいる拳にこそ焦点を当てるべきだったのかもしれないが、やっぱり目線は尻に行くよな、尻。
はぁ……ついに、とうとう、恐れていた通りになってしまった。不幸中の幸い、という形でヴァルバニル復活の危機は一時遠ざけられたとはいえ、あくまで急場しのぎ。聖剣を打つためのヒントは手に入れたとしても、それを打つべきルークが……。
アリア復活の為の隕鉄についても、まるで目処がついていないし、仮にそれを手に入れたとしても、果たしてそれをどう使ってアリアを復活させればいいのか。もし、打ち直すとしても……。
ルークの頑固者は、絶望しないのだろうか。自分がどれだけ死力を振り絞り、聖剣を打つことに成功し、ヴァルバニルを何とかできたとしても、もう自分がセシリーの傍に居ることが出来ないというのに。彼女を遺して逝くしかないと分かっているのに。
馬鹿だなあ。これに関してはユーインが言うことが全く正しいよ。セシリーは強い。この娘は弱いけれど、絶対に弱いままで停滞しない強さがある。それはきっと、ルークを失ったとしても潰えないものだと信じたい。だからこそ、彼はもっと甘えていいはずなんですよね。今この瞬間を、彼女に負債として預けてしまっていいはずなんだ。彼女はそれを、負債ではなく糧に出来るはず。ルークだって、リーザを喪った果てに、セシリーと出会うことが出来たのだから。
頭に来るんだろう? 許せないんだろう? 自分がいなくなったあと、自分以外の男に、セシリーがココロ奪われるのが。だったらせめて、今この瞬間の自分を、彼女に刻みつけておけばいいのに。
ばかだなあ。馬鹿な男は、死ぬまでバカなんだよ。死んだって馬鹿なんだよ。
だから、それはセシリーがなんとかしなきゃならないんだろうな。全く、面倒な男を好きになってしまったんだねえ、お嬢さん。

シリーズ感想