僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)  (MF文庫 J ひ 2-23)

【僕は友達が少ない 5】 平坂読/ブリキ  MF文庫J

Amazon

ある日父・隼人から電話でよくわからない話を聞かされて驚く羽瀬川小鷹だったが、星奈にそれとなく確認してみたところ、彼女のほうは特に変わった様子もない。一応気にはなりつつも、隣人部ではいつものように残念な部員たちとの騒がしい日々が続いていく。遊園地に行ったり温泉に行ったり昨今の娯楽業界を取り巻く情勢的に危険な領域に行ったり、いろんなところにGO(5巻だけに)! 隣人部の人間関係にも変化がおとずれる、はいてもいるしはいてなくもあり、ついているようでついてない、大人気残念系青春ラブコメディ、変化と原点回帰の二学期編突入!

んなアホな!?
ハッハッハッ、なんてこったい。幾ら何でも、これはちゃぶ台ひっくり返しすぎだろう、と思ったんだがこの作品、いくらちゃぶ台をひっくり返してもひっくり返しても、上に乗ったものがこぼれないという作品なので、今回の大発見もまた微妙にスルーされてしまうのだが、さすがにこれは何事も無く、とは行かなかったみたいだな。
殆ど根底からひっくり返るようなパラダイムシフトだったわけだし。実際、これは凄い。こちら側の意識が変わるだけで、これほど仕草や挿絵に対する印象って激変してしまうものなのか。固定された認識を前に、事実はこれ程までに簡単に歪められてしまうものなのか……って、絵師さんも絶対知らんかったよね。それとも知ってたのか。いずれにしても、ええいっ、騙されたわ!!

本来なら、この正体発覚イベントだけでルートが確定しそうなものなんだけど、この作品にとっては後半のエピソードでプレイしている乙女ゲー的にいうと「デートが出来るようになりました」程度の事なんですよね。これは前々回の夜空との幼馴染関係発覚イベントに、前回の星奈の婚約者イベントも同様で、両方共ルート確定に等しいだけの衝撃的な展開だったにも関わらず、何故か何事もなかったように流されてしまっているわけで、お陰で段々と理解できてきましたよ。
羽瀬川小鷹の恐ろしさを!!
この隣人部の中で、比較的常識人で残念度も低いと思われていた主人公の小鷹こそが、ある意味残念度がもっとも高いということが!
理科が分かりやすい形で彼の旗折り職人としての腕前を引き出してくれたお陰で、ほんとよくわかった。一昔の前のラブコメだと主人公の鈍感さなんてどれも似たような分かりやすい易しいものだったのに、最近はなにか一味ちがうのが増えたなあ、と実感している。その鈍感さが一筋縄ではいかない主人公が随分と増えてきた。小鷹もなんか違うんですよね。本来なら夜空のイベントにしても、星奈のイベントにしても、とても衝撃的であり今までの関係がひっくり返って今まで通りでは居られなくなるような、大きな出来事であるはずなのに小鷹はびっくりしつつも素で「いや、驚いたなあ」で済ましてしまう。ほんとにそれだけ。内心や付き合い方に変化が生まれるわけでもなく、全く本当に以前と同じ、そんなイベントありましたっけ? と言わんばかりの平静さで接していくのです。それはもはやフラグブレイカーというよりも、フラグイレイザー。旗を折るどころか、無かった事にしているかのようなスルーっぷり。
あんまりナチュラル過ぎて、読んでるこっちまでそんな大層な展開があったことを忘れてはいないものの、気にもとめなくなっていた。「ああ、そんなこともありましたねえ」くらいのレベルで。
お、恐ろしい。なにこの主人公、ここまでボケーッとしたやつはそうそういないぞ。こいつなら、たとえマジ告白されても、素で有耶無耶に流されてしまいそうだ。なにこれこわい。
もっとも、本当に旗が無くなってしまった訳ではもちろんない。それどころか、導火線に火がついたまま地雷のように埋められてしまった状態と言ってもいい。どうせあとで、まとめてヒドイことになるんだぜ。各個撃破しておけばまだ対処できたものを、ただでさえ致死量の爆薬を集中起爆された日には、一体どんな惨劇が、酸鼻を極める光景が現出してしまうのか。それとも、果たしてそれほどの展開ですら、この男はスルーしてしまえるのか。何か、変な意味でドキドキしてきたぞ(笑

さて、対するヒロイン衆であるが、相変わらず同じところをぐるぐる回っている夜空に、人気高いにも関わらずどんどんキモさが際立ってきてしまっている肉というニ大メインヒロインに対して、控え扱いだった幸村と理科が勇躍トップ集団に踊りでてきた感がある。単に、上の二人があまりにも残念さが高ぶりすぎて勝手に堕ちてきた、と言ってもいいのかもしれないが、これ。残念さが売りとはいえ、最近の二人は本当に残念すぎてちょっと引きそうなくらいになってきてヤバいよ?
それに比べて、幸村くんは今回大暴れでしたし、地味に理科さんが頑張ってたんですよね。そう、地味に。天才科学者などというキテレツな要素に頼らず、基本的なところから、女の子らしい積極的なアピールに打って出たところは非常に好印象。地味でも堅実に距離を詰めようと努力するところは、やり方を完全に間違えている夜空に、何もしてない天然な星奈と比べても自然と応援したくなる。まあ、相手が悪いんですが。いや、その玉砕っぷりがむしろ萌える?
ヒロインレース、これまでは自分の中では理科はマリアや小鳩を含めても最下位定位置だったのですが、なんか一気に最上位に踊りでてきた感があります。順番的にそろそろ彼女の大型イベントがあってもおかしくないはずなので、出来れば頑張って欲しいところ。
って、ついに埋まっていた地雷が起爆する? と、何度も巻の締めで騙されてると次第に信じる気持ちが薄れていくんですが(苦笑

平坂読作品感想