101番目の百物語 2 (MF文庫J)

【101番目(ハンドレッドワン)の百物語 2】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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一文字疾風、通称モンジは、ある日突然『百物語の主人公』になってしまった、ちょっと普通じゃない高校生。6月に入ったある朝、クラスメイトのキリカと都市伝説トークに花を咲かせていたところ、生徒会長の詩穂先輩から呼び出しを受ける。どうやら、学校内で最近流れている『神隠し』の噂について調べてきてほしいらしい。一之江と、生徒会副会長である六実音央と三人で現場のワンダーパークに出かけるモンジ。ちょっと見てきて、何もなかったというのを確認するだけ、そのはずだったが――。サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメ、緊迫の第二弾!
今度のフォークロアは「村」ものかー。数ある都市伝説の中でも、実際「村」に関するものは一際怖い話が多い気がします。不気味で凄惨でおどろおどろしく、血生臭い。元々怖い話は苦手なんですが、村関係のフォークロアについては特にイヤですね。詳しく調べたり知るのも怖くてイヤです。
そんな、恐らくは百物語でも特級に凶悪な物語と立ち合う事になるモンジくん。瑞江やキリカも述懐しているように、試合に初参加した途端、いきなり一桁台の最上位ランカーと戦わされているようなもんなんですよね。ハード極まる! 
それでもまだ、今回は瑞江とキリカという飛車角が揃って脇に控えてくれているのだから、安心感は当の二人と相対した時に比べたら段違い……と、思っていたらそうそう一筋縄でいかないのが百物語の百物語たる所以か。本当の土壇場においては、二人の直接的な援護を受けられない状況で、モンジくんは神隠しを攻略せざるを得なくなる。
尤も、むしろ余計な茶々入れを排し、彼の力ではどうにもならない脅威についてはキリカと瑞江が綺麗に丸っと引き受けてくれているので、ある意味モンジくんは完璧にサポートを受けているとも言えるんですよね。そして、「物語」の歪を埋め、嘆きも罪も因業も、果ては未来も行く末も遍くすべてを引き受け受け入れ支えて助けて導くことこそ、主人公の主人公たる所以である以上、そこからはモンジくんの独壇場。何しろ彼は、自分が主人公たることを如何なる状況下においてもしっかりと自覚した上で、その役割を果すことを自ら望み、覚悟し、笑って成し遂げようとする男であるからだ。
彼の特徴であった断固とした軽薄さは、二巻においても些かも揺るぐこともブレる事もなく、新たなロアに対してもニヘラニヘラと鼻の下を伸ばして笑いながら、その在り方を絡めとり、自分の手中へと絡めとっていく。その罪も現実も引き受けて、一緒に背負って。
敵わんぜー、この主人公には。

一応ハーレムものにあたるのは間違いないんですけどね、何というかここのハーレムは独特ですよね。放任主義? とでも言うんだろうか。モンジくんにしても、瑞江、キリエにしてもお互いの気持ちや関係に縛られている、という堅苦しさがないんですよね。みんな自由気侭に思うとおりに振る舞い、それぞれに対して何も押し付けたり、強要したり、という事がない。
そんなふうにみんな好き勝手にしているのに、不思議なほどにチームワークが取れてるんですよね。モンジも瑞江もキリエも、何も言わずともお互いが求めていることを承知して、何も言わずとも好き勝手に、やるべき事をやりたいようにやっていく。イチャイチャキャッキャウフフと賑やかに仲良くしながら(笑
その綺麗に歯車が合致してグルグルと滑らかに全体が回り出すような雰囲気が素晴らしく心地いい。
結局、みんなカラッとしてて粘着質なところがないのがいいんだよなあ。その意味では、今度加わることになった音央たちもカラッとした性格の明るい気のいい娘なので、すんなりとモンジくんたちに加わってくれそうだ。

しかし、瑞江ちゃんはもう背中から襲ってくるメリーさんというよりも、いつでもピッタリと背中を守ってくれる守護霊みたいになってますね。なにこのべらぼうな頼もしさ。
キリカはキリカで、魔女の名にふさわしい智賢と多才さで、かゆい所に手が届く行き届いたサポートをしてくれる上に、壁役、斬込み役、後衛支援とありとあらゆる場面で際立った手際を見せてくれて、よくぞまあこんな凄まじいカードをモンジくん、手中に収めてしまったものだと感心する。
最初の最初でこんな二人が仲間になってくれたのは、全く以て僥倖だったんでしょうなあ。その分、思いっきり死にかけたわけですけど。イチャイチャするにも楽しいですしなあ、ハッハッハッ♪

1巻感想