機巧少女は傷つかない 4 (MF文庫J)

【機巧少女は傷つかない 4.Facing "Rosen Kavalier"】 海冬レイジ/るろお MF文庫J

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 bk1

機巧魔術――それは魔術回路を内蔵する自動人形と、人形使いにより用いられる魔術。時計塔事件も一段落し、雷真たちは負傷続きながらも〈夜会〉に勝ち残っていた。だが、雷真の負傷を自分のせいと気に病んだ夜々が、突然姿を消してしまう。なんとか彼女を見つけ出した雷真だが、それは敵の罠だった! この夜会を支配する存在〈十字架の騎士(クロイツリッター)〉と名乗った彼らとともに、夜々は雷真のもとを去る。打ちひしがれる雷真。そして、彼の前に現れた硝子は告げる――「夜々は放棄するわ。今後はいろりを使いなさい」はたして雷真の決断は!? シンフォニック学園バトルアクション第4弾!

あ、あのぉ、シャルがなんか相当に色ボケし始めてるんですが(笑
病んボケの夜々に、天然ボケのフレイに、ドジボケのアンリと、どいつもこいつもボケ役しかいないなかで、辛うじてシャルはツッコミ側だったのに! ……あれ? シャルってツッコミ側だったっけ? そういえば最初から自爆系ツンボケだったような……。
ま、まあなんだ、前回妹のアンリともども雷真に助けて貰った事で、既にいい具合にグラついて居たところを岸壁から突き落とされてしまったようで、症状の方が明らかに深刻化、進行してしまったようで、なんだか妄想の度合いが夜々と大してかわらなくなってきてるぞ、おいw
いいんですけどね、可愛いから。さすがに、夜々みたいに病んでるわけじゃないし。殴るけど、火を噴くけど……面倒さではあんまり変わんないな。なにやら、シャルの中では既に雷真にプロポーズされてしまっているらしい。あの科白をそういう風に捉えるのは、幾ら何でも強引すぎないかい、お嬢さん。でへへへ、と笑み崩れてるのを見ると突っ込むのもはばかられるのですが。
いいんですけどね、可愛いから。

一応本作は学園バトルアクションなんて銘打たれているけれど、学院が舞台となりながらも幾多の国のエリートとなる学生が集まり、世界各国の機巧魔術の粋が集まるここは、国際政治の政争謀略の中枢でもある。主人公の雷真も立場上、日本陸軍の犬であるわけですしね。そしてなにより、時代は第一次大戦前夜。今にもバルカン半島の火薬庫に火種が引火しようとしている微妙な時期。色々な思惑が交錯し、野心が滾り、黒々とした怨念が渦巻いている。華やかな学生生活を贈ろうなどという浮かれた若者は此処には一人も居ない。誰もが生き残るため、人生の勝者となるために、国家の為に、それぞれの秘めたる目的のために、牙を研ぎ、眼光を輝かせ、利害で結びつき、酸鼻を極める現実を嬉々として道具として、兵器として振るおうとする。
まさに、人の業が凝縮したような場所だ。
そんな中で、自分が勝ち取らなければならないものを思えば追い落とさなければならない相手との間で、絆と信頼が生まれている。
利害を超えて、ボロボロの身体を引き摺って、敵であるはずの人の為に立ち上がろうとする者たちがいる。
相棒を奪われた一人の青年のために、何も言わず、何も求めず、ただいつかの彼からの好意に報いるために、いやさただ彼が好きであるから、異性として云々を抜きにして純粋に彼を人として好きだから、力になってあげたいと、何の益もない戦いに名乗りをあげる三人の人形師たち。
シャルたちが、何も言わずに雷真の為に集まってきたシーンには、正直痺れた。彼がこの学院でボロボロになりながら示してきた生き様が、まるごと肯定されたみたいで。
友人の力となることを、友人に力になってもらうことを、当たり前のように成し遂げ、受け入れる。それが、この暗鬱として殺伐とした夜会の中で、胸がすくように清々しく、晴れやかに見える。
いいチームじゃないか。
……まあ、雷真の事となると一瞬にして瓦解するチームワークだがw
夜々もまた、なんという面倒くさい理由でしでかしてくれたもんだか。ヤンデレのくせに、自分に自信が無い子なのよね。というか、自分がただの人形だの道具だのと思うなら、そんな誘い文句にフラフラと付いていかないの。道具は自分で役に立つか立たないかの判断はしない。それは、使用者が判断する事なんだから。それが理解出来てない時点で、夜々はどうやったってただの女の子なんですよね。
うん、だから雷真の説得方法は間違っていない。彼女を取り戻すやり方としては、まさに正解。自分で自分の首を絞めてるような気もするが、それはまあ毎度の事なので自業自得だ。こいつ、ナチュラルに自覚なしに口説くもんな。しかも、なんかもうそれはどうよ、と言いたくなるような凄い事言いながら。見境なしにあのひとにまで口説き文句並べてたもんな。
うーん、考えてみるとシャルがえらい有頂天になってしまってるのも、彼女の思い込みが原因じゃなくて、やっぱりコイツが悪い気がしてきたぞ。

ロキの方の仄かなロマンスはえらくバッサリと……いや、幾ら何でもバッサリ過ぎやしないかと、焦った。そこに結果が至るのだとしても、もうちょっと積み重ねてくれた方がよかったような。あれじゃあいろいろな意味で辻斬りみたいなもんだぞ。

一難去ってまた一難。どうやら最大の障害にして元凶となる人物の影も見えてきたし、さて、それと雷真の目的である復讐の相手がどう絡んでくるのか。そろそろ佳境になってくるのかしら。
それはそれとして、雷真って硝子さん好きだよねーw

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