ダンタリアンの書架6

【ダンタリアンの書架 6】 三雲岳斗/Gユウスケ 角川スニーカー文庫

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保養地として有名な美しい島に招かれた、ダリアンとヒューイ。かつてヒューイの教官だったマクギガンは、ダリアンに姪のリーシアを紹介する――友だちになってほしいと。悪魔の本と少女の冒険、第6弾!


4巻あたりから、表紙絵のダリアンのポーズも趣向に富んできてたけど、今回のはまた飛びっきりに可愛いなッ! 両手にケーキの皿持ってフォークを咥えてって、どうやってそれ以上食べるつもりなんだか、この食いしん坊め。最近、ちと菓子に釣られすぎな気もする、ダリアン嬢。場合によっては本を求めるよりも、食べ物を要求する頻度の方が高いんじゃないかという疑いもw
そのうち、ダンタリアンの書架じゃなくて、ダンタリアンの食料庫にならないかと心配になるぞ(笑
それにしても、彼女のドレス、かなり面白い作りをしてるんだな。今回の表紙絵で後ろ姿がはっきりと描写されていたのでようやくその特殊さに気づいた次第。作りはドレスのはずなんだが、着物みたいに帯で結ぶようになってるんだろうか。ダリアン自体、その正体からすると東洋系のはずなので、このハイブリッドな作りの衣裳も納得といえば納得なんだが。本作も近々アニメ化されるそうだけど、この衣裳でダリアンが動きまわる姿を見れるのはなかなか楽しみである。


第一話【雛形の書】
……こいつ、アホだろう。今度の幻書の所有者は奸智に長けていたのかもしれないけど、幾ら何でも迂闊すぎる。仮にも自分の命がかかっているものなんだから、ちゃんとチェックくらいはしておかないと。校正は大事ですね、という話なのかもしかしてw
さりげに、カミラの兄貴というまたぞろ準レギュラーとなりそうなキャラが登場。あのカミラの兄貴だけあって、またぞろ豪快にして隙のない食わせものだな、おい。あの一族はみんなあんななのか、と思ってしまうところだけど、さすがに一族みんな天然の曲者というわけじゃないらしい。それは良かった、と言いたいところだが、当の食わせものであるカミラとその兄レオンが揃ってヒューイとダリアンをお気に入りにしてしまっているのだから、一緒か。
ところで、作者は今回ゲストキャラにオッサンが多いとのたまっていらっしゃるが、もしかしてレオンもオッサンに含まれるのか? のか?


第二話【柩の書】
そういえば、この作品って地名についてははっきりと表記しないんですね。舞台となる地域の情報はわりと詳しく載せてくれるので、だいたいどこの国の話なのかは分かるのですが。
今回は王国の北西にある火山活動の活発な島国。第一次世界大戦後すぐに独立したばかり、という話から、間違いなくアイスランドのはず。
ちょうど今年、アイスランドで氷河内の火山が噴火を起こして、ヨーロッパ各地に被害をもたらしてるそうですしね。それが元ネタなんでしょう。
まさか、氷原で「館モノ」のネタをやるとは思わなかったけど。幻書が人の妄執によって災厄を招いている話で、こうもホッと温もりを感じるようなハッピーエンドに終わる話はなかなか珍しい。結構このシリーズ、悲劇モノが多いものね。
マグナソン教授は、なかなかキャラが濃い上にウィットに富んだ面白い人なので、また登場してほしいところだけど、地殻学者なんて出番ないよなあ、きっと。
あのシェリーという写真記者は、なんだか怪しいな。姦しいだけの新米にも見えるんだけど、なんでダンタリアンの書架の噂をあんなに的確に知ってたんだろう。それとも、こんな新米記者にも知れ渡るくらい、ヒューイとダリアンの行動は噂になってるんだろうか。結構、欧州各地で派手な事してるといえばしてるから、完全に否定は出来ないが……でも、詳しすぎる気がするんだよなあ。


第三話【人化の書】
第一次世界大戦の悪魔の兵器の遺産がもたらした悲劇と報いの物語、か。たとえ、きっかけが贖罪だとしても、それだけで結びついて居られるほど人間というのは頑強ではない。一緒の時間を過ごす事によって情が生まれ、それは容易に慈愛や親愛へと変わっていく。たとえ、本当の血のつながりがなくても、種族すら違っていても、彼らは間違いなく親子だったのだろう。
そういえば、ダリアンとこんなに波長の合う娘は初めてだったんじゃないだろうか。友達と呼べるような女の子は何人か出来ていたけど、リーシアみたいに最初に顔を合わせた時以外はダリアンが悪態もつかずに一緒に居た相手はいなかったように思う。
さりげに、ダリアンがいつもの衣裳から、普通のワンピースという格好をしたのも初めてだったような。ちゃんと挿絵で描いてくれてるのが嬉しいじゃないですか。


第4話【楽園】
いつも厳しい顔してピリピリと研ぎ澄まされた雰囲気を漂わせているくせに、この焚書官という男は、ちょっと間が抜けてるんじゃないだろうか(苦笑
どうもこう、考えが浅いような、観察眼が乏しいような、迂闊な所が見受けられる。それでも構わず強引に突破してしまうのだけれど、やっぱり力任せだよなあw
過去の幻影に出てきた読姫の名前はフランチェスカ。しかし、今の壊れた読姫の名前はフランベルジュ。炎の名前を関する読姫か。いったい、何が彼女の身に起こり、この男を焚書官などという復讐者にしてしまったのか。
フランの焚書官を見つめる視線が、妙に印象的だった。同士や仲間などでは断じて無く、しかし突き放しているようにも見えず、どちらかというと見届け人という風に、傍でただこの男の行く末を何も言わず見守っているような雰囲気がある。壊れているくせに、狂気よりもどこか達観したような悟ったような印象が、この話で芽生えてきたようだ。


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