ソードアート・オンライン(6) ファントム・バレット (電撃文庫)

【ソードアート・オンライン 6.ファントム・バレット】 川原礫/abec 電撃文庫

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ああなるほど。死銃の能力の真相、これは盲点だった。先のアインクラッドの殺人者集団のギルドメンバーが犯人らしい、ということで、ついついアインクラッドにおいてゲーム内の死が肉体の死に反映されてしまう当時の鮮烈な印象が残光になってしまっていたんでしょうな。てっきりゲームシステムに何らかのからくりがあるものだとばかり考えていたせいで、そっちの可能性については意識の死角になってしまっていた。これは、上手く誘導されていたのかもしれない。
アカラサマニ怪しい、というか、明らかに犯人だった彼が生還者ではないというところに齟齬は感じていたんですけどね。むしろ、彼の経歴の方に変なからくりがあって、生還者であることを巧妙に隠蔽しているのでは、という方に意識が行っていた。

相変わらず、エンターテインメントとしてとても基本に忠実であると同時に、単純に文章が巧い。文章力が高いというのとは少し違っていて、特に変化を付けているところもないし、先鋭的に尖らせている部分もない。全体的に非常にオーソドックスなんですよね。いっそ空虚で薄っぺらいとすら言ってしまってもいいかもしれない。ところが、そこに展開の安易さや安っぽさを感じさせない。読んでいる間は、ほぼ完璧に物語の中に読者たる自分を引きずり込み、没頭させてくれるような確かな牽引力があった。シンプルに、面白いんですよ。単純に話が面白い。これは、純粋にすごいと思う。同じ話をするのでも、話術の違いによって楽しさ、面白さが違うように、この作者はエンターテインメントとしてお話を面白く読ませることに、とても長けているんだろうなあ。

ただ、キャラの心情や考え方、台詞、ストーリー展開についてはやっぱり、自分には合わないみたいです。いい子にしても悪い子にしても筋立てにしても、あの教科書的なお行儀の良さが性に合わないんだろうなあ。想像や予測の範囲を決して逸脱しない中で、綺麗に整えられた台詞が紡がれ、展開が提示される。そのせいか、折々で気分が冷めてしまって、面白いとは思っても感情が揺さぶられない。
こんなに読んでて面白い、それなのに読んでてあんまり楽しくないというのは我ながらどう処理していいのか、いささか混乱しますね、これ。

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