氷結鏡界のエデン5  絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 5.絶対聖域】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

Amazon


君は千年獅になりたい?−−最強の錬護士筆頭イシュタルの目的とは!?
ユミィ護衛任務中のシェルティスの前に現れた、最強の錬護士筆頭イシュタル。シェルティスは、かつて剣を交わした彼女に正体がばれることを心配するが、イシュタルは謎めいた笑みを浮かべるばかりで……

前巻からその強大な存在が示唆されていた錬護士筆頭イシュタルさんが、予想していた、そして読んでいる最中の印象とまるで違う方向でヤバかった!!
うわあっ、こういうキャラクターだったのか。傍目から与えられるイメージからすると、まるっきり清々しいほど裏返しじゃないか。なにやら、物凄い因縁とか秘密を抱えているのかと思っていたのに、この人の抱えていた真実とは、まさに一点を貫く槍そのものだった。
でも、だからこそこの人の強さは怖いよッ! 余計な物が何もない分、目的がたった一つに特化されている分、感情その他もろもろまでたった一つのために集約されている分、この人には揺るぎというものが欠片もない。狂的なほどに、強靭だ。穿てぬ物は何も無いというほどに尖っている。
これは、下手に意味深に色々抱えている人よりも、シンプルな分その強さはヤバいですよ。単純な戦闘力なら千年獅の面々すら上回ってしまうというのも、この人ならば仕方がない。
もしかして、【祓戈の到極者 ジルシュヴェッサー】の称号に一番ふさわしいのって、このイシュタルなんじゃないだろうか、とすら思ってしまった。

さて、今回は彼女の強烈な存在感に引っ張られた感もあるけれど、とりあえずはシェルティスはサブに置き、むしろ巫女ユフィの自覚と成長を促すための話だった感じ。シェルティス側は、フォー・マン・セルのチームも上手く編成できて一旦安定したわけですしね。
それから、浮遊大陸エデンを出て、別の浮遊島に存在する統制庁とその施政下にある街に舞台を移したことで、どこか閉じた感覚があった世界観も一気に広がってきた。統制庁の【天の車】の面々も、あの暑苦しいゼルドールのおっさん初めとして、かなり個性的な連中みたいだし(笑
そして、空間的、人間的な広がりと同時に、時間的にも過去と現在がつながり始め、世界の構造の秘密もまた徐々に浮き上がり始めている。読者視点だけでなく、イリスという存在を鍵にして、また空白と呼ばれる敵との接触により、ユフィやシェルティスたちにも、そういった情報が開示されていくのもまた世界の秘密が紐解かれていく、という感じが出てて、物語が進みだしているという実感が得られる。

しかし、これは思っていた以上に「黄昏色の詠使い」シリーズとの共通点が深いところに食い込んできた。専門用語の共通点だけじゃなく、マハの使ってる術のシステムなんて、かなり「アレ」に近しいものだったし。
裏でうごめいていたものの暗躍が眼に見えるところに出てきたことで、話もずんずん面白くなってきた♪

物語の進行もそうだけど、キャラの掘り下げも進んできたなあ。さすがに新キャラ登場が多かったので、華宮とヴァイエルについては出番少なかったけど、その分、モニカがユフィとイチャイチャしてくれていたので、オッケーオッケー。ってか、モニカってヒロイン側にも関わらずそのキャラクターってどちらかというと生真面目ヘタレ系主人公のそれだよなあ(笑
むしろ、ヒロインとしてはただの機械水晶であるはずのイリスの方が可愛すぎるんですがww 性格に愛嬌がありすぎる。自分と同系列のシステムを守るためにシェルティスが庇って傷ついたときの「…………ばか」には思わずキュンと来てしまった。

4巻感想