東京レイヴンズ3  cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 3.cHImAirA DanCE】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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進級試験に挑む春虎や冬児たち。落ちこぼれの春虎たちに気を揉む夏目だが、試験の最中に突如、異変が冬児を襲う。同時に、渋谷、品川、上野と都内各地で<霊災>が起き――!? 時を超える陰×陽ファンタジー!!

青春っ、してますね!!
あー、こうして改めて見ると、この物語が真っ当に少年少女たちの物語なのだというのがよくわかる。【Dクラッカーズ】は若者たちの話としてもアングラすぎた上にある種の閉鎖的な世界観での話だったし、【BBB】に至っては完全にワールドワイド。
それから比べると、このレイヴンズは正面突破の雛鳥たちの物語なんですよね。メインキャラたる面々は、夏目を初めとしてそれぞれに優秀と言える力を持っているのですけれど、実のところ十二神将という別格は別としても、現場でバリバリと働いている面々と比べてはっきりと差がある事が折々に触れて描かれている。それは、どちらかというと実力や技能の差というよりも、経験や意識の差とも言えるのかもしれない。陰陽塾という学び舎は、将来陰陽師という職能を活かして働く事を目指す若者たちが集まった、勉学のための学校というよりも就職に直結した、社会に出る事を前提とした職業専門学校としての色が強い場所であり、それ故に大人たちが実際に陰陽師として働いている場所に非常に近しい位置にある。同時に、春虎や夏目たちは各々が抱えた事情により大人たちの世界に否応なく関わる場面が多い。必然的に、自分の責務を果す大人たちの姿を目の当たりにし、強く意識するケースが多くなっている。自分たちがいずれ踏み込むであろう社会を、近い将来の現実として実感することが多くなっているんですね。
このへんの子供たちが自立心を芽生えさせていく描写は、何度読んでもいいなあ、と惚れ惚れする。
安易に「大人はなにもしてくれない」という風な方向に持っていくのじゃなくて、大人たちはできる限りの人事を尽くしている。子供たちを守ってくれる。でも、それに頼りすぎるのは信頼ではなく、甘えなのだと。大人たちを盲信し頼る前に、まず自分を頼り、自分で精一杯頑張って、それでも足らなければ周りが手助けしてくれると信じる。これこそ、庇護されるだけの子供からの脱却であり、大人になるための自立心の芽生え、なんですよね。
まだ精神的にも実力的にも未熟な雛鳥たちが、間近で大人の世界を覗き込み、時にそちら側へと踏み入りながら、自分で羽ばたき空へと飛び立たなければならない事を自覚する。これもまさに、青春じゃあないですか。
いやあ、これ確かに陰陽師たちによる異能バトルの世界観なんですけど、根っこの部分はそういうの関係なしに、直球直球豪速球の子どもが大人になる物語、だったんですなあ。

というわけで、これまでどこか底知れない一面を見せていた冬児の秘密が明らかになる話でもありました。こういう余人が立ち入れない男同士の友情を描かせると、あざのさんはビリビリに痺れさせてくれる。そうそう、男同士の友情は傍で女がちょっと羨望と嫉妬するくらいのがいいんですよ(笑
どうやら、彼に憑いているのはそれなりにいわく有り気なもののようだし、順当に起爆用の伏線が地雷原のごとく敷設されていっているのがひしひしと伝わってくる。これらが一度に爆発すると、またえらいことになりそうで、今からゾクゾクしてきましたよ。
これまで勿体付けていた十二神将たちも、一挙に出てきました。以前、テレビでも出ていらっしゃったあの小暮さんが、思ってた以上に面白いというか、キャラ的に丈幅が広そうな人で驚いた。癖のないくせ者というか、なんか使い勝手の自由度が半端ないぞ、このキャラ。一方で、あの鏡くんはあざのさん的には珍しいくらい真っ当な破綻者なんじゃないだろうか。作者は意外とこの手の壊れた人を頼もしい味方にしてしまう傾向があったんだけど、こいつは明らかに脅威以外の何者でもないようだし。かと言って、安易に敵にしてしまうような事はしないでしょうから、いったい物語においてどういう役回りになるのか、予想がつかなくてゾクゾクしますね、ゾクゾクしますね(笑

さて、そろそろ大連寺嬢が再登場しそうな予感。物語の進行的にも、ラブコメ的にも彼女の再投入は重要かつ必然でしょうからなあ。そう、熱い友情話で盛り上がったんだから、次はラブコメ熱が燃え上がってくれないと(笑

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