深山さんちのベルテイン (GA文庫)

【深山さんちのベルテイン】 逢空万太/七 GA文庫

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「コタロー殿、起きるであります、起きるであります!」
 深山さんちのメイドロボ。ベルさんことベルテインは今日も働き者。小さな身体で、ご主人様である琥太郎に尽くします。そんな彼女の本来の使命であり最大の悩みは――。

「……コタロー殿、コタロー殿」
「なに?」
「家の中でまで女装するのはどうかと思うであります、どうかと思うであります」

 ――女の子より可愛い男の娘の琥太郎と、そんな彼を更正させんと日夜奮闘するベルさんが繰り広げる、ゆるふわ日常ショート・ストーリー。
「這いよれ! ニャル子さん」の逢空万太が贈る新シリーズ。疲れたとき、一息つきたいときに是非、どうぞ!
ああ、これは読みやすいわ。5ページから10数ページの短いお話をポンポンと軽快に継ぎ込んでくる掌編集。小説版の四コマ漫画と考えると分かりやすいんじゃないだろうか。短い割にどの話も起承転結がしっかりしてて、盛り上がりどころもあるし、オチの面白いのも多い。なにより、キャラクターが生き生きしていて、その日常生活を自然に垣間見ているような感覚でとても楽しい。繰り返すけど、短いのにそれぞれの話がしっかりと食べ応えがあるんですよね。お陰で、読み終えた時にはずいぶんとボリュームたっぷりの本を読んだ感覚で、かなりの満腹感だった。ほのぼの日常もので、劇的にストーリーが進行するようなことはないのだけれど、その分キャラの掘り下げや人間関係をじっくりと見せてくれていて、琥太郎とベルテイン。幼なじみの理々と耕平、その家族であるお母さんたちにディアナ陛下。そして不良先輩(笑)、このほんわかとしたコミュニティにとても親しみが湧き、好きになりました。

さて、この作品の主人公である琥太郎。今流行の男の娘なのかと思ったら……(耕平は否定してるが)どうも性同一性障害っぽいんですよね。体は男だけど、心は女の子。将来的には股間の大事なものも取っちゃう事を真剣に考えている以上、これは完全に体と心が食い違ってるでしょう。耕平と理々は女装癖や可愛い物好きが拗れてこうなってしまってる、と思ってるようだけど、これは男に戻るの無理でしょう。どうやら、琥太郎は異性として好きになるなら男の子の方みたいだし。
やー、でも本人可愛いし、中身も殆ど女の子っぽいので、どっちでもいいんじゃね? という気になる。付いてる付いてないはこの際どうでもいいわ。理々が宿願を果たして射止めるなら、それはそれで体は男で心は女の子の百合恋関係、ということで収まるし(収まるのか?)、幼なじみ三人組の兄貴分である耕平とくっつくなら、落ち着いた頼もしい兄ちゃんと、甘えん坊の末っ子との発展形ということでそれはそれでお似合いだし、今のまんま三人でも、仲の良い三人兄弟ということでそれはそれで将来このまま大人になっていっても崩れる事のない安定した良い関係のまま進みそうですし(笑
大穴は、一人でやたらと琥太郎にフラグ立てまくってる不良先輩ですけどねっ!
もう、目茶苦茶可愛いんだ、このヒト。悪ぶっているくせに、優しくて面倒見の良いところが全然隠しきれてないあたりが、素晴らしくキュートなのですよ。可愛いなあ、もうw

そして肝心要のベルさん。大人バージョンの時はとてもしっとりとした包容力のある素敵な女性なのに、ちっこいバージョンになったときにギャップと来たら。めんこいのぅ、めんこいのぅ♪
ちょっと間が抜けててお茶目で、ちっちゃい体でちょこまかと楽しそうに家事に勤しむ頑張り屋さん。理々相手には悪い顔になって攻撃的になったり、と結構イイ性格もしているし、面白い。もう、見てるだけでほのぼのしてきてしまいます。

ニャル子さんみたいな悪ノリも面白いんだけど、こういうほんわかとした温かい、でも軽快なテンポのお話も書けるんだなあ……というか書ける書けないどころじゃなくて、すっごい良かったですよ♪
とっても好きになりました、この作品。