暴走少女と妄想少年2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)

【暴走少女と妄想少年 2】 木野裕喜/コバシコ このライトノベルがすごい!文庫

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入学から1か月。なかなか友達が増えない善一(と武瑠)は、自分たちと同じくクラスから浮いていた、内田杏子と友達になろうとする。だが、杏子は武瑠並みに面倒な性格の持ち主だった!善一はなんとか彼女の気を引こうとするが、事態はなぜか武瑠と杏子による「どちらが善一の主人にふさわしいか対決」に発展!果たして勝負の行方は!?新たな暴走少女が加わってさらにヒートアップしたドロップキックラブコメディ。『このラノ』大賞・優秀賞の第2弾!
うんうん、いいな、これはいい。
前作に色濃くあった悪い意味での素人っぽさが上手く解消されていて、よく洗練されていたんじゃないだろうか。こうも着実に成長の跡が見られると、なんだか嬉しくなってくる。
それ以上に、この新キャラ投入は成功だったように思う。一巻は面白くはあったものの、主要の登場人物、武瑠と善一にみみみと白柳、ベースとなる四人組がどうも連携が取れておらず、一人ひとりが物語の進行の中で孤立してしまっていたんですよね。名目こそ友達扱いだったけれども、場面場面でバラバラに動いてしまっていたというか何というか。二人が絡むと残りが弾かれるみたいな形で、遊軍になってしまっていたというか。微妙な距離感があったんですよね。
それが、杏子という新要素が加わってきた事による刺激によって、どの場面でも誰が弾かれるでもない仲良し四人組として機能し始めるのです。そうやって生まれた気心のしれた仲間という空気感は、肝心の杏子も拒絶することなくすぐに取り込んでいくのでした。最初の登場からしてヤッチャッタ感のあった杏子ですけど、武瑠の時からすると随分とすんなりと違和感や気まずい雰囲気なく接するようになりましたしね。もう、これにはみみみと白柳の二人の活躍があってこそ。今回の話では、善一以上にこの二人が頑張ってくれたお陰という感があります。武瑠に懸想している分、善一の出足やお節介は前回ほど意欲的かつがむしゃらに、とはいきませんでしたしね。でも逆にそのお陰で、善一一人の尽力で、ではなくみんなで一緒に本当の友達関係をつくっていこうという雰囲気にもなれたわけですし、良かったんじゃないかな。最後なんて、みみみも白柳もきっぱりと杏子の味方になってくれたわけですしね。あそこで二人がちゃんと武瑠と善一を叱ってくれたのは嬉しかったなあ。

前巻ではツンデレとかいう以前の問題で、女として云々、恋心がどうのという話どころか歳相応の分別すらまだついていない子供でしかなかった武瑠が、あれからちゃんと成長してわずかではありますが、ちゃんと女の子としての顔を見せてくれるようになったのは、善一じゃないけれどちょっとした感動ものでしたねえ。尤も、萌える云々の段階ではなく、どこか幼い娘の成長を目の当たりにしたみたいな気分でしたけど(苦笑
ただ、わりとガチに修羅場になったのは意外だった。その辺誤魔化さず、あの場面で逃げずに直球を投げ込んできた決断は、ラブコメとしてもナイスだったと思う。なあなあで済ます所じゃなかったですし、あの展開があってこそ、みみみと白柳からも友達としての真剣度が伝わってきたわけですしね。
何より、武瑠にはあれぐらいの刺激がないとダメだったでしょうし。他人に関心の薄い彼女に対しては、嘘や誤魔化しではなく本気の想いを見せないと、伝わらなさそうだもんなあ。
あの残念な尊大さには、はがないの肉を思わせる雰囲気があった杏子ですが、やっぱりいまどきって残念さは愛嬌なんですかねえ(苦笑

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