ほうかご百物語あんこーる (電撃文庫)

【ほうかご百物語あんこーる】 峰守ひろかず/京極しん 電撃文庫

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ピュア可愛いイタチさんと僕の不思議な放課後物語、ファン必読の短編集が登場ですっ!

 妖怪少女イタチさんと過ごす文化祭を描いた『食いしん坊、万歳!』。赫音のお願いで、イタチさんがドレスで音楽コンクールに出場する『タッチ・ミー・イフ・ユー・キャン!』。新井さんの唇を狙う妖怪との対決のため、新井さんちに泊まり込みする『ビューティーズ・アンド・ザ・ビースト!』。さらに、夜の学校で真一たちを襲った妖怪の正体は──!? 『ユー、ロボット?』など、電撃文庫MAGAZINEに掲載された短編4編に加え、9巻で消滅の危機を免れたイタチさんと真一のその後を描く書き下ろし『拝啓、十七の僕へ』も収録。
 ピュア可愛いイタチさんと僕の放課後不思議物語、皆様のあんこーるにお応えして、短編集が登場! イタチさんファンは、必読の1冊です!!

御馳走様でした、はい。いやあもうね、この満腹感は至福ですよ、至福。これだけ沢山のカップルがラブラブになっちゃったらねえ、糖分過多すぎてえらいこってス。
短編集は幕間に書き下ろしを挟むことで、あとで加わったメンバーに思い出話を話すという形で進行。これがねえ、地味にいいんですよ。まだ知り合う前のドタバタのエピソードを話すことで、その場には参加していなくても思い出を共有していくような雰囲気があって。ほんとにこの子たち、仲がいいんだよなあ。喜ぶべきは、そんなみんなの仲の良さが十年後の大人になったあとでも失われずに続いていた事が証明されたことですか。
ちょっ、この未来人、しゃべりすぎだろう!(爆笑
この後日譚の構成がまた上手いんですよねえ。あとがき読んでなるほどと得心したのですが、本編終了直後のほのぼのした日常編と、みんなが大人になったあとの未来編を両方書きたかった結果、合わせてしまえ、とこういう形になったのだとか。未来の話は見てみたいけれど、年月が経った後日譚って微妙に過ぎ去ってしまった青春時代が懐かしく、寂しい思いに駆られる部分があるので、現代にいながら将来のことが分かってしまう、というこの形は良かったなあ。ちゃんと、未来に支障がない形で締められてるし。
そして、大人になったイタチさんの美人なこと美人なこと。髪がロングになってメガネを掛けたイタチさんの美人なこと美人なこと。ええい、幸せそうだなあ、おい。
ちょうどここで掲載されている短編集は時系列に沿う形で置かれているのだけれど、イタチさんと真一の関係の変化がこうして並べてみるとよく分かるんですよね。最初からラブラブイチャイチャカップルだったように見えて、その実けっこう違ったりするのです。作中でも突っ込まれてるけど、最初の方はまだ真一のイタチさんへのスキンシップってまともだったんだよなあ。イタチさんの方も、遠慮がちだったし。真一のイタチさんへの好き好きっぷりが、実は一方通行でどちらかというと崇拝に近いものだった、というのはシリーズの感想の中でも触れてた事なのですが、今の二人はちゃんと噛み合いお互いを求め合って愛し合ってるラブラブカップルって感じで、うんうん見ていて胸が暖かくなってくる。大祓を乗り越えたあとで行われている二人の朝の儀式、起きたらまずイタチさんをギューッと抱きしめて消えかけてないか確かめる、というあれはあっけらかんとした二人にしては珍しいくらいしっとりとした雰囲気を醸しだしてましたしねえ。
未来から来た真一が語るみんなの十年後の動向は、今にもまして春満載で幸せそうで、素直にああ良かったなあと胸をなで下ろす。相変わらず真一は、モノノ怪誘引体質を発揮してるみたいだけど、何ら堪えていないみたいだし。そっかそっかあ、滋悟郎さんも元気なのか。あそこが年齢もあって一番心配だったからなあ。フィルに対して美生がヤキモチを焼き出すというのはぜひ見てみたかったところだけど。他にも、未だ出会ってない妖怪や人の名前がポンポンと飛び出してきて、今から十年という時間が流れる間にも、変わらずドタバタ賑やかな日々があったことが伝わってきて、なんだかここで終わってしまうのが勿体無くなってしまう。いつかは、終わらなきゃならないのでしょうけどね。うん、でも本として読めなくなっても、物語の中の世界は変わらず続いていく。終幕として、これは最高の形のひとつなんじゃないでしょうか。
シリーズはじまった当初は特徴らしい特徴もなく印象も薄い作品だったんですけどね、まさかこんなに好きになる、登場したキャラ全部を愛しく思えるような、愛すべき作品になるとは思いませんでした。その意味では、大いに化けたシリーズだったなあ。
こうしてみんな、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし♪

シリーズ感想