コップクラフト 3 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 3 DRAGNET MIRAGE RELOADED】 賀東招二/村田蓮爾  ガガガ文庫

Amazon


サンテレサ市警特別風紀班の異世界美少女剣士ティラナ・エクセディリカ。そしてその相棒、敏腕刑事ケイ・マトバ! 今回の事件の舞台は、高級住宅地クィーンズバレーの裕福な家庭の少年少女が多く通うシャーウッド高校。その生徒の全裸死体が発見された! ティラナとマトバに与えられた任務とは、なんと高校に潜入しての囮捜査! ティラナ、大胆不敵にも制服姿でシャーウッド高校に「転入」? サンテレサ市にシリーズ最大の大騒動が巻き起こる! 全ライトノベルファンの話題必至、いよいよ完全新作でお送りする第3巻!

……え? ケイって、ティラナのことアリなのか? なんかこいつ、酒に酔って守備範囲広いから実はオッケーとか暴露しやがったぞ!? てっきり大人の女性しか相手にしないイイ意味で男臭い敏腕刑事だと信じてたのにッ!!(笑
いや、でも見直したよ。ケイのこと、そこまでの猛者だとは思ってなかった。見縊っていた。だって、この表紙見てみなさいよ。女子高生の格好らしいですが、せいぜい中学生です。あたしゃあ、てっきり「おっ、新キャラだ!」と思いましたもんね。ティラナだとは思わなかった。考えて見れば、ただでさえヒロインがロリ幼女なのにさらにロリ幼女とか出すわけないんですが。まあ、それくらい幼く見えたということで。完全に幼女じゃないですか。
そんなティラナが守備範囲だというのだからおそるべしである。
見直したぜ!

……見直してどうするw

まあでも、この男、ガサツで大雑把な典型的な野卑な男の見えて、これで細かいところにまで気配りが出来るなかなか大した男なのである。痒いところにまで手が届くとでもいうべきか、居て欲しい時に居てくれる、というべきか。そんな頼れる男でありながら、同時にふとした瞬間にはびっくりするくらいの隙を見せてくる。こちらから頼り甘えるばかりでなく、頼ってもらいたい甘えてもらいたい、などという無意識の欲求を抱えている女性からすれば、もう文句のつけようがないイイ男なのだ。
面白いことに、そういった彼の性質はよっぽど彼のことを良く見ている女性でないと気づいていないですよね。女性刑事のコンビのケイという男に対する意見の相違はなかなか興味深いものだったし。

にしても、ケイの野郎、いつの間にかティラナの事、本当に大事にするようになったなあ。以前はまだ彼女がその突飛な性格から騒動を巻き起こさないかと心配して気を回しているところがあったけれど、今回の学校への潜入捜査でのティラナへの心配の仕方を見ていると、純粋に彼女が辛い目に合わないか、変なことに巻き込まれないか、女子高生なんて怪物の群れに放りこんで大丈夫なのか、とティラナ個人の心配をしてるんですよね。
……過保護だ。
まあ過保護とは言っても、きちんと彼女を刑事として、相棒として認めて尊重して扱っているので、子供扱いしているとかいう印象は無いのですが、でもやっぱり過保護だ(苦笑
うーん、この態度を見てるとティラナを亡き妹を重ねて見てるところはあるなあ、確かに。あの心配の仕方は、年下の肉親に対するようなものだし。
ティラナとしては、いずれ不満になる要素だろうけどね。
今はまだ、様々な体験を経て成長していく過程で、凹むこと心弱ること、価値観を揺さぶられて落ち込む事も多々押し寄せ、そんな中で自分を甘やかさず、しかし突き放さずに辛い時には傍に居てくれるケイの事を、頼もしく嬉しく思い、ドキドキと動悸が早くなったりするんだろうけど、彼の事が気になればなるほど、そんなケイの接し方に逆に不満を覚え出すはず。
さても難し気は女心という奴である。何しろ、女当人にもどうにも制御できない予測もできない暴れ馬だからして、んなもん男からすりゃ訳がわからんのも無理はない。
まあまあ、まだまだそんな段階までは進んでいないのだけれど……いや、案外と早いかもしれない。今回のティラナの心の動きを見ている限りでは。

肝心の事件は、というと殺人事件も絡んだハイソなお金持ち学校に出回る麻薬のルートを探るために、ティラナが囮捜査で女子高生に扮して学校に潜り込む、という真っ向刑事モノと学園モノをブレンドしに掛かってきましたよ。Z文庫の時の大人ティラナじゃ出来ない話だな、これ(笑
あっちのティラナなら、確かに女教師で潜入できたんだろうけど……いや、ティラナが教師とか絶対無理だろww
と、ちょっとした学園ラブコメディみたいなノリで行くのかと思いきや、事件は予想を超えた暗澹たる悲惨な結末へと転げ落ちていく。ティラナにとって試練の時である。戦士ではなく、刑事として事件と向きあう事によって出来た傷。一人前になる通過儀礼かもしれないのだけれど、そんな傷、負わなければそれに越した事はないのだが、それでも掃き溜めのような現実を、少しでもただそうと頑張れば、傷だらけにならざるを得ないのかも知れない。刑事なんて、一人で出来るもんじゃないですね。それこそ、支えあえる相棒がいないと。
このままなら、ティラナは良い刑事になれそうです。

1巻 2巻感想